ひどい虫歯や事故で折れた歯を抜いた直後に、顎の骨との間にある歯根膜を残した状態で新型インプラントを差し込む特定臨床研究を来月から始めると、南東北医療クリニック(福島県郡山市)などが29日発表した。通常のインプラントのように顎の骨にねじで直接固定せず、自然の歯に似た形で歯根膜に包まれて定着するため、物をかむ感覚があるはずだという。
 この「次世代バイオインプラント」技術はベンチャー企業「オーガンテック」(東京都中央区)の辻孝会長(元理化学研究所チームリーダー)や徳島大の大島正充准教授らが開発。これまでに犬の実験で安全性と有効性を確認し、患者6人での研究に進むことになった。
 同クリニックで診療する春日井昇平・東京科学大名誉教授は東京都内で開いた記者会見で、現在のインプラントは60年前にスウェーデンで開発されたが、抜歯後に神経とつながる歯根膜を除去することが前提だったと説明。歯根膜を残す新型インプラントは「これからの歯科治療を変えていくと思っている」と話した。 (C)時事通信社