【ニューデリー時事】アフガニスタンのイスラム主義組織タリバン暫定政権は昨年12月、女性の助産師や看護師を養成する医療教育を禁じた。学ぶ自由も行動も制約され「まるで刑務所のような生活」。教育を受け続ける最後の道を絶たれた首都カブールの女性たちが、時事通信に心境を吐露した。
 「将来の希望を全て失った気がする」。約9カ月間、助産師の養成学校に通っていたライハナ・ハイダリさん(仮名、20)はこう話す。もともとは弁護士になりたかったが、タリバンが中学以上の教育から女性を締め出したことで、進路変更を余儀なくされた。
 助産師になれないと将来の収入源を失う。教育費を工面した家族も経済的に困窮することになるが、学校再開の見通しは立たず、勉学を放棄せざるを得なかった。「行くことが許されている唯一の場所はマドラサ(イスラム神学校)。女性は一日中、家に閉じ込められ、多くがうつに苦しんでいる」と嘆いた。
 同じく助産師を目指していたフラシュタ・コスタニさん(仮名、22)は、タリバン復権後に就労や通学が禁じられ、男性の付き添いなしには自由に外出もできなくなったことで「この3年半で100歳になったような気分だ」と語る。「何も変わらないかもしれないけど、勉強は続けている」といい、以前学んだ内容を自習することで必死に前を向いている。
 タリバンについて尋ねると「あの人たちに母親や姉妹、娘や妻がいるはずがない。そうでなければ女性に対し、これほど残酷な行動を取ることはできない」と語気を強めた。国際社会には、アフガン女性の声に耳を傾け、タリバンに圧力をかけてほしいと訴えた。
 タリバンは2021年8月に実権を握って以降、極端なイスラム法解釈に基づき、中等教育学校や大学から女性を排除。女性患者の診療は女性が担うべきだとして、女性向けの医療教育を例外的に認めてきた。禁止措置が固定化すれば、ただでさえ貧弱なアフガンの医療・福祉体制が、さらに悪化するのは必至だ。 (C)時事通信社
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