治療・予防

甲状腺ホルモンの過剰分泌で不調に
20~40代女性に多いバセドウ病

 疲れやすい、イライラする、痩せてきた―。こうした体の不調が続くようなら、バセドウ病かもしれない。女性に多く、20~40代に多く見られる病気だ。症状はさまざまで、更年期障害などとも似ており診断がつきにくい。金地病院(東京都北区)の山田惠美子院長に話を聞いた。

バセドウ病の主な症状

 ▽全身の新陳代謝が活発に

 甲状腺は喉仏のすぐ下にある臓器で、体の新陳代謝を調節する「甲状腺ホルモン」をつくっている。甲状腺ホルモンの量は、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調節されているが、バセドウ病では「TSH受容体抗体」という自己抗体ができ、TSHに代わって甲状腺を刺激してしまう。その結果、甲状腺ホルモンが過剰に作られ、新陳代謝が異常に活発になる。「常に100メートルを全速力で走っているような強い疲労感や動悸(どうき)などが続きます」と山田院長。それ以外にも、微熱、不眠、イライラ感、眼球突出、頻脈、筋力低下、食欲の高進などの症状が表れる。

 血液検査でTSH受容体抗体の有無、TSHやその他の甲状腺ホルモンの量などを調べることにより診断ができる。しかし、一般的な血液検査の項目にはないため、「当てはまる症状があれば、かかりつけ医に甲状腺ホルモン検査を申し出てください」と山田院長。

 ▽妊娠・授乳期は薬の服用を

 治療は、内科治療、外科治療、放射線治療があるが、甲状腺ホルモンの合成を抑える抗甲状腺薬を服用することが基本となる。服用中、白血球の減少や肝機能障害などの副作用が出る、再発を繰り返すといった場合には、「外科手術と放射線治療が選択肢になります。再発しにくいのが利点ですが、手術は甲状腺の摘出で傷が残り、甲状腺機能が低下するため、甲状腺ホルモンの服用が必要になります。放射線治療は放射性ヨードを1回飲むだけで済みますが、18歳以下や妊婦、授乳期の人には行われていません」と山田院長は話す。

 特に妊婦の場合、TSH受容体抗体の数値が高いと、母体だけでなく胎児の甲状腺も刺激するため、新生児バセドウ病の発症リスクが生じる。そのため、妊娠中も薬の服用を継続して、TSH受容体抗体の値を抑えることが重要となる。

 山田院長は「バセドウ病は治療することにより妊娠や出産が可能ですし、運動もできます。ただし、治療中も増進した食欲はすぐに元に戻らないので、食べ過ぎに注意が必要です」と注意を促す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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