治療・予防

中高年のアキレスけん断裂
ストレッチやトレーニングで予防を

 スポーツでダッシュ、ジャンプ、踏み込むなどの動作をしたときに、突然アキレスけんが切れて、普通に歩くことさえ困難になる「アキレスけん断裂」。若いスポーツ選手に多いけがと思われがちだが、中高年のスポーツ愛好家に見られる代表的なスポーツ外傷でもある。

 ▽けんの柔軟性が低下

 ダッシュ、ジャンプなどの足を蹴り出す動作は、ふくらはぎの筋肉が素早く収縮し、その力がアキレスけんに伝わってかかとを持ち上げることで可能になる。だが、アキレスけんに急激に強い力が加わると、力に耐えられずに切れてしまうことがある。

断裂の簡易な診断法(トンプソンテスト)

 東京医科歯科大学医学部付属病院(東京都文京区)整形外科・再生医療研究センターの大関信武医師は「アキレスけん断裂は、加齢によってけんの柔軟性が低下している中高年で発症しやすい」と説明する。テニスや剣道などかかとを浮かせて素早い動きをする競技で起こることが多いようだ。

 ラグビーチームのコーチをしている40代の大関医師も、練習中にアキレスけん断裂を経験した。「受傷時には、『ふくらはぎの下を棒でたたかれた感じ』とか『ブチッと音がした』など、音や衝撃を感じる人が多いのですが、私もそうでした」と話す。

 ▽半年間は運動控えて

 断裂の簡易な診断法として「トンプソンテスト」がある。うつぶせで膝を直角に曲げた状態でふくらはぎを強くつまむと、正常であれば足先が伸びてかかとを上げた状態になる。だが、断裂を起こすとそれができなくなる。他に、断裂部位がへこむ、爪先立ちができなくなるといった症状も表れる。

 トンプソンテストで異常があり、これらの症状が認められる場合は、アキレスけん断裂の可能性が非常に高い。「痛みは強くないのですが、時間がたつと治るまでに時間がかかるため、早く治療を受けてほしい」と大関医師は訴える。

 治療法は、ギプスなどの装具を用いて固定する保存療法と、切れたアキレスけんを縫合してから固定する手術療法がある。「手術は痕が残り、術後感染がないとはいえません。ただ、保存療法に比べると固定期間が短いうえ、再断裂の可能性が少ないとの報告が多い」と大関医師。自身は手術を受け、3~4カ月後には軽い運動を始められるまでに回復した。術後は、短くても半年間は激しい運動を控える必要があるという。大関医師は「普段からストレッチやトレーニングをすることが、予防のために大切です」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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