教えて!けいゆう先生

今すぐ手術をしてほしい
希望がかなわないのはなぜ?

 ◇手術枠の調整

 こうした事前準備を行うとともに、手術枠の調整も行う必要があります。毎日、多くの科が手術を行っています。手術室の数や、麻酔科医、手術室看護師、臨床工学技士など、手術に関わる医療スタッフのマンパワーにも限界があります。

 1日に設定できる手術枠の数も限られるため、患者さんの事情も踏まえながら、手術枠の空いたところに予約を入れることになります。

住友病院の手術室(2001年8月、大阪市北区中之島)【時事】=イメージ。本文とは無関係です

住友病院の手術室(2001年8月、大阪市北区中之島)【時事】=イメージ。本文とは無関係です

 患者さんによっては、「仕事の都合でこの日しか無理」と言われることもありますが、多くの患者さんの全ての希望を聞き入れるのは難しいため、ある程度妥協していただきつつ上手に調整する必要があります。

 少なくとも、患者さんが外来を受診されたタイミングで、すでに1週間、2週間先の手術枠は予約で埋まっており、「近日中の手術」は非常に難しいという状況が一般的です。

 ◇例外的な緊急手術

 もちろん例外もあります。患者さんによっては、「今すぐ手術をしなければならない」という病状の方もいます。あるいは、「今すぐ」でなくても、「1カ月も待っていられない」というような、進行の早い病気で治療が必要なケースもあります。

 その場合は「緊急手術」や「臨時手術」という形で、本来の予約枠とは別枠で手術を行います。場合によっては、普段のように全ての検査を術前に行う余裕はない、というケースもありますので、優先順位をつけ、病状の許す範囲で妥協点を探ることになります。

 緊急手術の場合は病状が「待ったなし」である以上、多少の「準備不足」は許容せざるをえず、さまざまなリスクを抱えて手術を行うことになります。患者さんやご家族にも、こうしたやむを得ない事情を十分に説明し、ご理解いただくのが一般的です。

 誰もが、いつ病院で手術を受けることになるか分かりません。手術の一般的な流れを知っておくと、少し不安が軽減するのではないでしょうか。(医師・山本健人)

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