治療・予防

乾燥する季節に悪化―手荒れ
事前の予防が大事

 進行性指掌角皮症(手荒れ)は主婦湿疹、手湿疹とも呼ばれ、年間を通して乾燥する季節に悪化しやすい。主婦や指先を使う職業の人に多く、毎年悩まされているという人も少なくない。種田医院(東京都杉並区)の種田明生院長は「悪化させてしまうと治るまでに時間がかかるので、事前の予防が重要です」と話す。

毎年悩まされる人も。事前の予防が大事

毎年悩まされる人も。事前の予防が大事

 ▽バリアー機能が喪失

 手荒れは、主婦や飲食業、美容関係、事務職など、水や洗剤、紙類などに触れる機会が多い人に起こりやすい。種田院長は「季節的には湿度の下がる11月くらいから患者が増え、翌年の2~3月くらいまで続きます」と話す。主に利き手の指先から発症し、カサカサと乾燥して次第に硬くなり、指紋が消失する。ひどくなると皮膚が剥がれ落ちたり、ひび割れや出血が生じたりする。指の側面や手の甲、手のひらにまで広がり、小さな水疱(すいほう)ができてかゆみを伴うこともある。

 皮膚の最も外側には、皮脂膜に覆われた角質層があり、皮膚の保護と水分を保持するバリアー機能の役目を持っている。ところが、水仕事などで洗剤を使ったり繰り返し刺激が加わったりすると、角質層を守っていた皮脂膜が取り除かれてバリアー機能が失われ、手荒れが起こる。外部からの刺激にも弱くなり、ちょっとした刺激でかゆくなったり、傷ができたりする。「特にアトピー性皮膚炎がある人は皮膚のバリアー機能が弱いので、手荒れを起こしやすくなります」と種田院長。

 ▽手袋や保湿薬で予防

 手荒れを防ぐには、事前の予防が第一。「水仕事などを行う際は、面倒くさがらずに手袋を着用し、日に5~6回、市販のもので構わないので保湿薬を薄く塗ってください」。手袋は、1箱に100枚くらい入っているようなプラスチック製のものを、自分の手の大きさに合わせて選び、使い捨てにするとよい。台所洗剤などは薄めにし、皮脂膜を落とし過ぎないよう冷たくない程度のぬるま湯にするのがポイントだという。

 手荒れがなかなか治らない、湿疹を併発してかゆみがあるという場合は迷わず皮膚科を受診したい。皮膚のバリアー機能を保つ保湿薬、湿疹がある場合はステロイドの塗り薬が処方される。種田院長は「湿疹などができると治りづらいので、早めの受診を心掛けてください。日頃のスキンケアの方法や、薬の塗り方なども指導してくれるはずです」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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