特集

危険な冷え、病気リスクにも =生活習慣改善がカギ

 秋から冬にかけ特に気になる「冷え」。この時期、手足が冷たくてなかなか寝付けないなど冷えで悩む人が多くなる。「冷えは万病の元」と言われ、我慢すると体のさまざまな所に不調が生じ、思わぬ病気を引き起こすことになりかねない。冷えの原因や対策について専門家に聞いた。
 ◇男性に多い「隠れ冷え」
 冷えに悩む人や低体温の人が増えているのは、エアコンが整った環境、運動不足による筋肉の衰え、ストレス過多の生活、おしゃれを優先した薄着ファッション、冷たい食べ物や飲み物、睡眠不足などの生活習慣が大きく影響している。

 「冷えは女性に多いと思われがちですが、最近は男性も増えています」。冷え治療のスペシャリストの東洋医学研究所付属クリニック自然医療部門担当、川嶋朗医師は警鐘を鳴らす。
 体の冷えを感じると脳は「温めろ」と指令を出し、全身に血液を巡らせて体温を保とうとする。しかし、自律神経やホルモンバランスが崩れると、体温調節機能がうまく働かず、冷えを引き起こす。
 男性の場合、冷えている自覚がない「隠れ冷え」が多い。気付かず放置すると、体に悪影響が出る。「朝、布団の中で脇の下に手を入れて、その後でおなか、腰などを触って冷たいと感じたら冷えのサインです」と川嶋医師は話す。
 ◇高まるがん化リスク
 生きていく上で重要な役割を担うたんぱく質の一つに酵素がある。食べ物を消化吸収し、細胞の基礎代謝や免疫力アップ、呼吸をしたり筋肉を動かしたりと、すべての生命活動に関与している。
 体内で酵素が最も活性化する温度は38~40度。冷えが続き酵素の働きが鈍くなると代謝が悪化。必要なものが作られず、体内の老廃物もたまりやすくなる。その結果、たるみや下半身太り、貧血、疲労、腰痛、肩凝り、頭痛、アレルギー、糖尿病、関節リウマチ、脳疾患、心疾患など、さまざまな症状が表れてくる。
 川嶋医師によると、だるさ、めまい、頭痛などの体調不良が続くとうつ状態を引き起こしたり、血行不良が勃起不全や生殖機能低下につながり、不妊の一要因になったりすることもあるという。酵素の力が弱まり遺伝子の傷の修復がうまくいかなくなると、細胞ががん化するリスクも高まると指摘する。
 また男性の場合、女性より腸が短いので下痢になりやすく、通勤途中でトイレに駆け込む回数が増えたら内臓の冷えが原因という可能性もある。疲れやすく疲労がなかなか取れない状態が続くときは、腹巻きや暖かいインナーウエアを着け、カイロや湯たんぽで体を温めてみるのもいい。冷えが原因ならば気持ちよく感じるはずだ。
 ◇食事と運動で改善
 冷えの要因の一つに食習慣がある。温かい食べ物や飲み物は、体温上昇の即効性がある最も簡単な方法。栄養たっぷりの温かい鍋や煮込み料理、スープなどは強い味方だ。勤務先に弁当を持参する人は、インスタントみそ汁、カップスープを一緒に飲むと良い。
 コーヒーは経験的に体を冷やす飲み物とされており、食後の飲み物に選ぶのであれば紅茶の方が良い。茶葉を発酵させて作るので代謝を高める効果がある。牛乳など冷たい飲み物は体を冷やすので、温めて飲もう。体が冷えているときは冷たいものを避け、温められなければ常温の飲み物を。
 適度な運動は血行を良くし、新陳代謝を高める。ジョギング、エアロビクスなどの有酸素運動は、脂肪を燃やすことで血流を促し、筋肉トレーニングは筋肉量を増やし、体温を上げる効果が期待できる。
 最も気軽にできるのはウオーキング。勤務先の1駅手前から歩き、通勤の往復では階段をできるだけ使う。移動中は少し歩幅を広くして早足で。
 ◇入浴の活用を
 入浴は体全体が温まりリラックス効果もあるので、冷え対策に欠かせない。バスタブに漬からずシャワーだけでは体の芯まで温まらないので、38~40度のお湯にゆっくり肩まで漬かるのがコツ。体が温かい状態でストレッチをすると、さらに効果がある。
 ただし熱いお湯は避けた方がいい。川嶋医師は「熱い風呂は血圧が上がり、心臓や脳に負担がかかり突然死の原因となるので要注意です」と指摘する。
 炭酸系の入浴剤を使用するとより効果的だ。血管を開いて血行をより促進する。

 薬草浴もお薦め。家庭風呂にヨモギ、ハッカ、ショウガ、ドクダミ、ミカン、ユズ、ショウブなどを入れると、体の芯までポカポカになるだけでなく、香りによるリラックス効果も期待できる。
 ◇伝統的なおきゅうも
 日本の伝統的な健康法の一つ「おきゅう」はかつて、高齢者の治療に使うイメージが強かった。しかし、煙の出ないおきゅうや火を使わないおきゅうなど種類が豊富になり、最近は若者にも人気が高まっているという。
 原料のもぐさはヨモギを精製したもの。食物繊維やミネラルが豊富で、浄血、増血、止血などさまざまな効果のある薬草だ。「せんねん灸」の発売元「セネファ」(滋賀県長浜市)が東京・銀座で直営する「お灸ルーム」の鍼灸(しんきゅう)師、佐藤克哉氏は「おきゅうは皮膚表面に表れる健康不良のポイント『ツボ』を温めることで、体調を整えます」と説明。効果として「体の血流を良くすることで、冷えや肩凝り、腰痛、目の疲れ、むくみ、ストレス、不眠などさまざま症状の改善につながる」と話している。
(ソーシャライズ社提供)

新着ピックアップ