医療ADR

「医療は公共財、争いは話し合いで」 =ADR現状と課題、日弁連インタビュー

 制度開始10年を迎える医療ADR(裁判外紛争解決手続き)は、都市部を中心に弁護士会や医師会が主導となり窓口を設置、利用も増加傾向にある。各機関により制度設計は微妙に異なるが、話し合いを前提とした解決を目指す点は一致している。実際にはどのように運用されているのか、弁護士会の医療ADRについて日本弁護士連合会に聞いた。

 【回答者】
 ・増田卓司弁護士(日弁連ADRセンター事務局長)=愛知県弁護士会
 ・児玉安司弁護士(同センター医療ADR特別部会長)=第二東京弁護士会
 ・西内岳弁護士(同部会委員)=第一東京弁護士会
 ・松井菜採弁護士(同部会委員)=東京弁護士会

 ※児玉、西内両弁護士は医療機関側代理人の経験が豊富、松井弁護士は患者側代理人の経験が豊富
                      (聞き手=解説委員・松本信彦)

 ◇3、4回の期日で決着も

 ―医療ADRは制度を運用する機関によって制度設計が少しずつ異なっている。特に医療側、患者側双方の話し合いの進行、仲裁役であるあっせん人の数や構成が異なる。東京三弁護士会(東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)は人数的には1~3人だが、現在は3人が主流という。あっせん事件を多く手掛けた弁護士、患者側代理人の経験豊富な弁護士、医療側代理人の経験豊富な弁護士の構成ということだが、それぞれの役割に違いはあるのか。

 松井 基本的にはあっせん人は(どちらの味方につくのでもない)中立的な立場。ただ普段の代理人としての活動が患者側であれば、患者側が何を考えているのかバックグラウンドがよく分かって話を聞ける。医療側であればその反対(医療側が何を考えているかよく分かって話を聞ける)ということ。それぞれが、そういう普段やっている仕事をバックグラウンドに持ってあっせんに当たれる。

西内 岳 弁護士
 西内 3人体制の場合、チェックアンドバランスの公正性を、外からも見えるような形のあっせん人構成にしている。医療側は弁護士会のADRにとても警戒感を抱いている。(協議の場へ)出て行けばお金の話になるとか、責任があるという前提の話ならば嫌だとか当然思う。そうではないことを確保するため、外からも中立なあっせん人構成をしている。

 ―医療ADRのあっせん人は、医療トラブルに詳しい経験豊富な弁護士を掲載した候補者名簿から選ぶようだが、候補者は何人ぐらいいるのか。

 松井 東京三弁護士会の候補者名簿には医療側、患者側いずれも約20人。最初15人ずつぐらいだったが、少し足りないということで増やした。

 西内 今のところ(当事者からの申し立てを)十分吸収できている。不足はない。(候補者名簿の弁護士には)かなり頑張ってもらって、2、3件同時並行で事件を持ってもらっている場合もある。

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