足の悩み、一挙解決
巻き爪の治療がうまくいかないのは、なぜ?(足のクリニック表参道 山口健一医師) 【PART2】第3回
巻き爪発生のメカニズム
◇爪の治療は何科にいけばいい?
爪のことで悩んだとき、どの診療科に行けばいいのかわからないという人が多いのではないでしょうか。一般的に、爪の診療は皮膚科の領域ですが、ひと口に皮膚科といっても、それぞれ得意分野が異なり、なかには爪の治療にはあまり力を入れていないという場合もあります。
とくに巻き爪や陥入爪の手術となると、皮膚科ではやっているところが少ないようです。
巻き爪の主な原因は骨格の異常ですが、骨を診るのは整形外科医の仕事です。しかし、整形外科で爪を診ることはありません。逆に皮膚科医は骨の診察はしません。足の変形があったとしても、診断、治療せずに、靴の選び方を指導する程度で終わってしまいます。
私の専門は形成外科ですが、大学で形成外科に入局したあと、最初に巻き爪の手術方法を習いました。形成外科医で巻き爪の手術をしたことがないという医師はいないでしょう。ただ、形成外科の専門医でも美容をメインにしているクリニックなどでは、巻き爪の治療を行わないところもあります。
このように、巻き爪や陥入爪の診療は、皮膚科、整形外科、形成外科、三つの診療科のはざまにあるため、一つの診療科だけを学んでいたのでは対応しにくいという問題があります。私自身、形成外科の知識や技術だけでは不十分だと思い、医学部を卒業したあとで、皮膚科や整形外科の勉強をし、フットケアの専門学校に通って、資格も取得しました。
どの医師がどんな治療を得意としているのかは、なかなか患者さんにはわかりにくいのですが、ホームページなどで、巻き爪や陥入爪の治療に力を入れているかどうか確認してから行くといいでしょう。患者さんの状態をきちんと見極め、複数の治療の選択肢を提示してくれることが大切だと思います。
次回は私が行っている巻き爪の治療方法についてご紹介します。(了)
山口健一医師
山口 健一(やまぐち けんいち)
2002年 東京医科大学卒業
2009年 たちばな台クリニック形成外科
2013年 足のクリニック
2016年 爪と皮膚の診療所、形成外科・皮膚科開院。
日本形成外科学会認定形成外科専門医、日本皮膚科学会会員、フスウントシュー・マスターフスフレガー、ドイツ式巻き爪ワイヤVHO認定医、ペディグラス認定足爪補正士、オーソペディック・シューマスター。
(文・構成 ジャーナリスト・中山あゆみ)
全国から患者が殺到するクリニック
「足のクリニック表参道」院長。2004年埼玉医科大学医学部卒業。同大学病院形成外科で外来医長、フットケアの担当医として勤務。13年東京・表参道に日本では数少ない足専門クリニックを開業。専門医、専門メディカルスタッフによるチームで、足の総合的な治療とケアを行う。
日本下肢救済・足病学会評議員。著書に「元気足の作り方 ― 美と健康のためのセルフケア」(NHK出版)、「外反母趾もラクになる!『足アーチ』のつくり方」(セブン&アイ出版)など。
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(2020/10/28 06:00)