治療・予防

腕が上がらない―五十肩
痛みで眠れないことも(東京北医療センター整形外科・肩関節センター 望月智之医師)

 中年以降の人が、棚の上の物を取ろうとしたり、エプロンのひもを結ぼうとしたりする時、肩に強い痛みを感じたら五十肩かもしれない。肩関節の病気や治療に詳しい東京北医療センター(東京都北区)整形外科・肩関節センターの望月智之医師は「寒くなると五十肩の患者が増えます」と話す。

急な肩の痛み。50代で発症する人が多い

急な肩の痛み。50代で発症する人が多い

 ▽冷却や動作で悪化

 五十肩の正式な病名は肩関節周囲炎で、四十肩も同じ病気だ。50代で発症する人が多く、肩と腕をつなぐ腱(けん、腱板)の断裂や軟骨のすり減りといった明らかな原因がないにもかかわらず、肩が急に痛くなったり、動かせなくなったりする。

 最初は肩に違和感がある程度でも、そのうち少し動かしただけでも痛みが走るようになり、就寝中に痛みで眠れなくなることもある。肩関節を包んでいる膜(関節包)が炎症で硬くなってしまうと肩が動かしにくくなる。英語ではフローズンショルダー(凍結肩)という。五十肩は数週間から数カ月、人によっては年単位で進む。

 外傷などによる炎症や痛みは患部を冷やすことで軽くなる。しかし、「五十肩の痛みは冷やすと逆効果です。また、無理に肩を動かすと症状が悪化します」と望月医師は注意を促す。

 ▽高齢者では別の疾患も

 五十肩の治療は、肩関節内に麻酔薬含有のステロイドを注射し、症状を和らげるのが一般的だ。痛みや炎症の治療で一般的に使われる非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は五十肩には効果が小さいという。関節が固まって腕が動かせなくなってしまったら関節包を軟らかくするリハビリテーションも必要になる。

 望月医師によると、五十肩は気温が下がる時期に発症することが多い。五十肩の心配がある場合は、肩をできるだけ温め、動かさないようにする。数日経過しても痛みが引かなかったり、夜間に痛みが生じたりするようなら早めに受診するとよい。「特に60代後半以上の人では、腱板断裂など他の病気の可能性が高いので、肩関節の治療が得意な整形外科への受診をお勧めします」と望月医師はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

【関連記事】


新着トピックス