治療・予防

皮膚がんのリスクも
日光角化症、中高年で増加

 日光の紫外線は体に必要なビタミンDを生成してくれる半面、浴び過ぎると皮膚に害を及ぼす。顔や頭の表面がかさかさしたり、染みが生じたりする「日光角化症」もその一つ。農業や漁業の従事者など外で働き、紫外線に長く当たる人ほど発症しやすい。石原診療所(東京都中央区)の石原和之院長は「皮膚がんに進行する恐れがあり、早期発見、早期治療が重要です」と話す。

 ▽痛み無く、静かに悪化

 紫外線は波長の長い順にA波、B波、C波に分類される。このうち体に影響するのがA波とB波だ。A波は皮膚深くまで届いてメラニン色素を生成させ皮膚を黒くする。B波は皮膚の浅い部分に直接作用し、急激に皮膚を赤くさせる。

左手に発症した日光角化症(石原和之・石原診療所院長提供)
 長年浴び続けて蓄積した紫外線のダメージが赤い染みとなって現れ、皮膚表面にかさかさした角質やかさぶたが出てくるのが日光角化症だ。「頭や顔、腕など日が当たる場所によくできます。痛くもかゆくもない分、気付かないうちに症状は悪化し続けます」と石原院長。

 特に注意を必要とするのは、日光を浴びると黒くならず赤くなるタイプの人や、長年、紫外線対策を怠ってきた人だ。40歳以降、高齢になるほど患者数は増え、年々増加傾向にあるという。

 石原院長は「日光角化症が怖いのは『有棘(ゆうきょく)細胞がん』という皮膚がんの前段階にあるためで、治療をしないままでいるとがんになる可能性があります」と指摘する。

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