治療・予防

コロナ禍で増加―慢性前立腺炎
~座りっぱなし、飲酒は控えて(おとなとこどもの仙川泌尿器科 上杉達也院長)~

 新型コロナウイルス感染症の影響で意外な病気が増えている。おとなとこどもの仙川泌尿器科(東京都調布市)の上杉達也院長は「慢性前立腺炎の患者が例年より多く、巣ごもり生活の影響が考えられます」と話す。慢性前立腺炎とはどのような病気で、どうすれば予防できるのか。

前立腺の圧迫を緩める生活上の工夫を

前立腺の圧迫を緩める生活上の工夫を

 ▽骨盤内でうっ血
 前立腺は男性特有の臓器でぼうこうの真下に位置する。前立腺の炎症が慢性的に続くのが慢性前立腺炎で、大腸菌などの細菌による細菌性と非細菌性に分けられる。

 多くは非細菌性で、骨盤内の静脈がうっ血することによる血流障害が原因とも考えられているが、はっきりしたことは分かっていない。特に、座ったままの姿勢が長時間続くと、慢性的な骨盤底への物理的刺激が加わり、症状を悪化させる。

 主な症状は、下腹部や足の付け根、肛門周辺の鈍痛、違和感、不快感のほか、残尿感や頻尿、排尿時の痛みなどだ。上杉院長は「これらの症状で他科を受診してぼうこう炎などと診断された人で、実は慢性前立腺炎だったというケースは少なくありません」と指摘する。

 非細菌性の場合の治療は、前立腺の炎症や腫れを抑え、排尿を促進する作用がある「セルニチンポーレンエキス」などによる薬物療法が主体だ。服薬開始後2~4週間で症状は治まるが、途中で治療をやめてしまうと再発しやすいため、症状がなくなっても数週間服薬することもある。細菌性の場合は抗菌薬を使う。

 ▽圧迫を緩和する工夫

 同院では、慢性前立腺炎の患者が、去年は一昨年に比べ3倍近くに増えた。上杉院長は、新型コロナウイルス感染症の影響で、在宅勤務やオンライン学習を余儀なくされ、家で過ごす時間が長くなったことが慢性前立腺炎の増加につながっているとみている。

 「予防策として、デスクワークの時は椅子にクッションを敷いたり、1~2時間置きに立ち上がって歩くなどの適度な運動をしたりすることで前立腺の圧迫を緩和できます。入浴で下半身を温めるのも有効です。また、飲酒は前立腺がむくみやすくなるため、できるだけ控えてください」と上杉院長は助言し、気になる症状があれば泌尿器科を受診するよう勧めている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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