治療・予防

前屈姿勢に注意―「スマホ首」
~放置すれば首のヘルニアにも(整形外科とくはらクリニック 徳原善雄院長)~

 スマートフォンやパソコンの普及で、症状を訴える人が増えたストレートネック。スマホ首とも称される。正式な病名ではなく、本来なら前方へ緩やかに湾曲している首の骨が、まっすぐになった状態を指す。

 放置すれば首のヘルニアなどになりかねない。「治療には、日常生活である程度の努力が大事です」と整形外科とくはらクリニック(大阪市)の徳原善雄院長は話す。

ストレートネック改善ストレッチ例

ストレートネック改善ストレッチ例

 ◇家事も原因に

 ストレートネックの初期症状には首の痛み、強い肩こり、頭痛などがある。悪化すると耳鳴りやめまい吐き気、手のしびれなどを感じるようになる。首の骨が正常に湾曲している状態なら、5キロ前後ある頭の重みをうまく分散できるが、首がまっすぐな状態だと、首や肩周りへダイレクトに負荷がかかるためだ。

 スマホやパソコンの普及で注目を集めるようになったストレートネックだが、原因はそれだけではないという。「基本的に下向きの作業を続けることが原因です。従って、一般的に首の筋肉量が少なく、家事で前屈姿勢をとる機会も多い女性はストレートネックになる可能性が高いです」

 症状が出た場合、「診断は整形外科で行いますが、治療は湿布薬と薬だけでは困難なため、理学療法士のいる医療機関をお勧めします。ストレートネックの施術に熱心な整骨院などもよいでしょう」。

 ◇姿勢改善とストレッチ

 徳原院長のクリニックでは、筋弛緩(しかん)剤や鎮痛剤なども使用するが、首の筋肉が固まっているため、ほぐしていく治療がメインになる。「骨の動きやすい状態をつくり、患者さん本人に姿勢を正す努力を続けてもらうことで、正常な湾曲を取り戻せるようにします」

 姿勢を正すためには、パソコンを置く位置やスマホの持ち方の工夫も必要だ。自分の姿勢が正しいかを知る簡単な方法は、壁を背に直立し、尻、背中、後頭部の3点が壁に接するかを確認する。
 加えて「ストレッチを家でも取り入れ、頻繁に行うことも大事です」。例えば首を左右に20秒ずつ傾けて筋肉を伸ばすストレッチや、立ち姿勢で両手を後ろに合わせて胸を開き、そのまま顔を上げるストレッチもよい。「やり方に決まりはありません。正しい姿勢を保ち、何回か試してみて効果を実感できる、自分に合ったストレッチをどんどん続けてください。大切なのは長時間の前屈姿勢を避けることです」と徳原院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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