子も親もつらい夜尿症
~「たかが、おねしょ」と言うなかれ~
まず生活改善からスタート
◇就寝2時間前、水分制限
夜尿症の専門医を受診すると、子どもの生活改善を勧められるだろう。生活を改善するだけで、10~20%は状態が改善するからだ。
具体的には、早寝や早起きなど規則正しい生活をする、夕食後の水分摂取はコップ1杯程度にする、寝る前には必ずトイレに行く―などといったことだ。家族の側は、夜間、無理に子どもを起こしてトイレに連れて行かないようにしたい。
生活指導の上で大切なことは、子どもが寝るまでに2時間を切ったら水分を制限することだ。暑い季節に熱中症になる心配はないのだろうか。大友教授は「1日に取るべき水分量というものがある。1日の水分量を減らすのではなく、夕食までにその量を取ってほしい」と話す。
◇おねしょ日記に花丸
子どものおねしょの日記(記録)を付けることが大事だ。「1カ月ほど調子がいい」「やはり駄目だ」…。こうした記録によって子どもの状態が分かる。
Aさんの場合、おねしょをしなかった日は日記に「花丸」シールを貼った。就寝前に水分を取らなかったり、昼間にジュースを我慢したりした結果が表れる。花丸が付くと、子ども喜び、モチベーションが上がる。
大友教授は「1、2回受診してから、来院しなくなる親もいる。だからこそ、記録が大事だ」と強調する。
夜尿症の主な治療法
◇薬物療法とアラーム療法
主な治療法には薬物療法とアラーム療法がある。
大友教授は薬物療法について「十数年前に優秀な薬が登場した。70%くらいは薬で良くなる」とした上で、「ただ、漫然と服用を続けても改善しないこともある。その場合は治療方針を変えた方がよいだろう」と続ける。ぼうこう自体への対応では、専門医による診断・治療の技術が求められる。
アラーム療法はパンツや専用パッドにセンサーをセットし、おねしょをすると、音や光、振動などによるアラームが発せられる。おねしょを本人に気付かせ、寝ている間にためられる尿の量を増やすことが目的だ。
アラーム療法に関して、大友医師は「うまくいけば1~2カ月で効果があるし、家族の負担も小さくなる。欧米ではアラーム療法が第1選択肢だ」と説明する。
親子は治療のゴール到達を待ち望む。大友教授が「きょうで終わりだ。治療を卒業したんだよ」と告げると、喜びの感情を爆発させるという。(鈴木豊)
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(2023/06/01 05:00)
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