治療・予防

次のパンデミックに備えて
~平時の取り組みが大切―政府主催シンポ~

 ◇緩和に慎重過ぎた

 感染拡大を受けて、国民に対する外出の自粛やイベントの制限、飲食店などに対する営業時間短縮などが要請された。これに関して、日本経済団体連合会の工藤成生・危機管理・社会基盤強化委員会企画部会長は「行動制限の緩和・解除への切り替えに慎重になり過ぎ、国民生活への影響が継続したのではないか。社会・経済活動への影響を踏まえ、検討する必要がある」と問題提起した。

パネリストの奈良由美子氏

パネリストの奈良由美子氏

 ◇SNSが誤情報増幅

 奈良由美子・放送大学教養学部教授は、個人、機関、集団間での情報や意見のやりとりを通じてリスク情報の共有を目指すリスクコミュニケーションの観点から振り返り、「国中のすべての人がリスクコミュニケーションの対象だった」と語った。その上で「感染症に関する基礎的知識が十分でなかった中でパンデミックが発生した」とし、「誤情報や偽情報が発信され、SNSによって増幅された」と指摘した。「差別や偏見が感染症対策を阻害し、間接的に感染拡大につながる」と警鐘を鳴らした。

 奈良教授は「普段できないことは、いざというときもできない」と、繰り返し強調した。

 ◇医療機関の枠割分担を

 瀬戸泰之・東京大学医学系研究科教授は「今回のパンデミックが災いだったことは間違いないが、転じて福としなければならない」と語った。教訓として医療機能の分化を挙げ、「重症患者は特定機能病院・大学病院、中等症患者は公立・公的病院、軽症患者はその他の病院というように役割分担をすべきだ」と述べた。同時に、相互連携に関して「患者のCT画像を1枚送ってもらえれば、間違いなく医療の効率化と役割分担につながる」と説明した。(鈴木豊)

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