治療・予防

摂食障害、家族の理解が重要=治療環境を整える大きな役割

 摂食障害には「拒食症」「過食症」「過食性障害」などがあり、いずれも仕事や人間関係のストレスなどが引き金となる。治療には、ストレスの緩和や生活環境を整えるために家族の協力が欠かせない。政策研究大学院大学保健管理センター(東京都港区)の鈴木眞理教授に話を聞いた。

 ◇拒食も過食も同じ根

 「摂食障害は、ストレスや不安を『食』で解消している状態」と説明する鈴木教授。痩せに執着して小食になり、食べても嘔吐(おうと)を繰り返して栄養失調に陥ったり、無月経になったりするのが拒食症だ。

 「勉強や部活には熱心に取り組む人が多いです。痩せへの執着とは裏腹に、飢餓の反動で食に異常な執着があり、料理番組などを食い入るように見たり、高級な食材を買い込んだりします」

 過食症は「むちゃ食いをしている間の開放感、現実逃避感が癖になり、周囲も止められない状態」。過食症の人も「痩せていなければ価値がない」と考えているため、食べたら嘔吐する。その結果、飢餓状態のストレスも加わって過食と嘔吐を繰り返す悪循環に陥ってしまう。拒食症による飢餓から過食症に移行する人も少なくない。

 摂食障害には遺伝的要因もあり、本人の意志だけで抜け出すのは難しい。ストレスが緩和されない状態で過食を無理に止めると、アルコールや薬物などの乱用につながることもあるので、周囲の家族も摂食障害特有の症状や対処方法を学ぶ必要がある。

 また、最近は夕食後、夜間に冷蔵庫の物をむちゃ食いしてしまう過食性障害(夜食症候群)が増えている。「仕事のストレスとの相関があり、男性に多い」という過食性障害は、過食症のような嘔吐による体重の維持が見られないため、肥満糖尿病を合併することが多く、問題となっている。

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