予想上回る発症の可能性=乳児の亜鉛欠乏症―京大
カルシウムやナトリウムなどのミネラルは生命の維持に欠かせない元素だ。中でも亜鉛は「微量元素」と呼ばれ、不足すると味覚異常や皮膚炎などが生じる。最近、京都大学大学院生命科学研究科(京都市)の神戸大朋准教授らの研究で、乳児の亜鉛欠乏症が従来考えられているよりも多く発症している可能性が高いことが報告された。
◇亜鉛が必要な乳児
鉄や亜鉛、ヨウ素などの微量元素は、それぞれがたんぱく質やDNAの合成、骨の成長や基礎代謝の促進などに関与する重要な栄養素だ。乳児は成長のために体重当たり成人の2~3倍の亜鉛を必要とする。特に早産児は胎内で十分に亜鉛が蓄積されないため、より多くの亜鉛が必要になる。
亜鉛が不足すると皮膚炎や下痢、発育障害などの症状が表れやすい。そのため、産後1~3カ月の母乳には、母体の血液中に含まれるおよそ2~5倍の量の亜鉛が含まれ、乳児の亜鉛摂取を促す。
しかし、一見母子ともに健康であっても、乳児が亜鉛欠乏症を発症する場合がある。「母親の体内に存在する亜鉛を集めて母乳に運ぶ機能に障害が見られる場合です」と神戸准教授は言う。
(2017/10/08 14:01)