おりものを観察
~健康管理に役立てる(淀川キリスト教病院 柴田綾子医長)~
においが気になる、べたべたして不快―など、煩わしい存在とされがちなおりものだが、女性の体を守る大切な役割を担っている。「普段からおりものの状態をよく観察しておくと、排卵のタイミングが予測できる他、感染症などの病気の早期発見にも役立ちます」と淀川キリスト教病院(大阪市東淀川区)産婦人科の柴田綾子医長は話す。

注意が必要なおりもの
◇女性ホルモンに連動
おりものは、子宮や膣の粘膜から出る粘液や古くなって剥がれ落ちた細胞などから成る、酸性の分泌物。透明、あるいは薄い白色や黄色で、少し酸っぱいようなにおいがある。「膣内部の潤いや清潔を保つ役割をしています」
女性ホルモンの影響を受けるので、量や色、粘度などは月経周期によって変わる。一般に排卵前後の数日間は量が最も多くなり、透明で粘り気のあるおりものが出るが、個人差が大きく、自分のおりものの量や色などが正常かどうか悩んでいる人も多いという。
「下着がぐっしょりぬれるほどのおりものが続く場合は、何らかの病気の可能性があります」。他にも「緑色、灰白色、また月経前後以外で茶色やピンク色」「魚が腐ったような悪臭がする」「カッテージチーズのようにぽろぽろした塊や泡状」「かゆみや痛みがある」といった場合は、カンジダ症(カビの一種による感染症)、膣トリコモナス症(原虫の一種による感染症)、細菌性膣症(膣の常在菌のバランスが崩れて起こる感染症)、性感染症、がんなどが疑われる。いつもと違うおりものが見られたら、早めに産婦人科を受診する。
◇洗い過ぎに注意
少し気になる程度の変化なら、清潔を保って様子を見てもよい。ただし、膣の内部は常在菌によって酸性に保たれ、細菌などの病原体の増殖を防いでいる。「入浴時に膣の入り口をぬるま湯で優しく洗えば十分。内部をせっけんや温水洗浄便座で洗い過ぎるのはよくありません」
においやべたつきが気になるときは、デリケートゾーン専用の弱酸性ソープやアルコールを含まない清浄綿などで外陰部を手入れするのもよい。蒸れにくい素材の下着を着用し、おりものシートをこまめに取り換えるのもポイントだ。
更年期以降は、おりものの量が減って膣内部が乾燥しやすくなり、ひりひりした痛み、灼熱(しゃくねつ)感、性交痛の他、頻尿や残尿感などぼうこう炎のような症状が表れることもある(閉経関連泌尿生殖器症候群)。市販の保湿剤などで改善するケースもあるが、「悩んでいる場合は、産婦人科で相談してください」と柴田医長は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2025/01/17 05:00)
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