Dr.純子のメディカルサロン

ストーマって何? おなかにある“もうひとつの出口”
~オストメイトの声から生まれたやさしい装具~ 医療が届かない「その先」を支える

ミムロの作業場の様子。本縫いミシンを使って縫製したり(右)、エンドカッターの裁断台でそけいベルトを検品したりしている

ミムロの作業場の様子。本縫いミシンを使って縫製したり(右)、エンドカッターの裁断台でそけいベルトを検品したりしている

 ◇「傾聴が大切」ー企業が寄り添うということ

 海原 医療用の製品を注文する方は精神的にも疲労感を持っていることが多いと思います。そのあたりで苦労されることもあるのではないですか?

 落合 苦労と感じたことは正直ないのですが、話をできるだけ丁寧によく聞くことを心掛けています。感情的になってクレームされる方もいらっしゃらないわけではないのですが、じっくり聞くようにしています。その上で、弊社としてできることをご説明させていただきます。大変おこがましいかもしれないのですが、傾聴が大切だと思います。

 海原 ざっくばらんに伺いますが、大量生産ではないことをなさっていて利益はありますか?

 落合 オーダーメード品や小ロットの製品で利益を出すことは正直難しく、楽な経営ではありませんが、ミムロの製品がこれからもお役に立てるよう会社のみんなと一緒に力を合わせて仕事をしていきたいと考えています。

 中島 マイノリティーである障害者の中でも、さらにマイナーなオストメイトの私は、日々のあちこちで「数の力に頼れない」壁にぶつかります。海外で売られている、おしゃれな色のパウチや下着が日本に輸入されないのは採算が合わないからでしょうし、そう判断する企業の事情も理解できます。

 とはいえ、少数派の私はここに居て、自力では解決できない不便と生きづらさを感じています。その時に上から目線ではなく、すっと寄り添って一緒に困りごとに立ち向かってくださるミムロの皆さんの存在に救われましたし、こういう出会いを大切にしていくことが、私の幸せにつながることを実感しました。

 (取材後記)中島さんによると、障害を持つ方は日常生活に不都合があってもなかなか言い出せず、我慢してしまうことがあるといいます。そうしたことに対し、安心して話せる場があり、一緒に問題を解決しようという仲間がいるのはどんなに心強いかと思いました。(了)


落合正行さん

落合正行さん

 落合正行(おちあい・まさゆき) 東京都墨田区出身。明治大学経営学部卒。住友銀行、落合株式会社勤務後、ミムロを両親と創業、現在に至る。大学時代はボードセーリング部所属、現在の趣味はゴルフと釣り。

 ミムロ(千葉市) オストメイト向けの医療用アクセサリーを企画、製造販売している。衣料用パーツの卸売業も行う。役員、社員、パート含め12人。千葉の会社の1階にはミシンや裁断機などが置いてあり、日々物作りに励んでいる。


中島小百合さん

中島小百合さん

 中島小百合(なかじま・さゆり) 東京都出身。英語力ゼロ、英語アレルギーのまま23歳で渡米。3年半の米国留学中に英検1級とTOEIC満点の英語力を習得し、バークリー音楽大学ヴォーカルパフォーマンス学部を卒業。現在は音楽関係の通訳・翻訳、英語発音指導に加えて英語学習&練習応援コミュニティ「英語スクワッド」を運営。

 

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