治療・予防

早期乳がんの先進治療=切らずに治す選択―陽子線

 がんの放射線治療は、体にメスを入れないため患者の負担が軽く済む。中でも陽子線は周辺の正常な細胞にほとんど影響を与えずに、がんを狙う治療として注目されている。メディポリス国際陽子線治療センター(鹿児島県指宿市)では、これまで難しいとされていた陽子線による乳がん治療の研究が進んでいる。菱川良夫センター長に詳しく話を聞いた。

 ◇ピンポイント治療
 水素粒子を光の70%近くまで加速させると、狙った場所で一気にエネルギーが放出されて消滅する性質があり、陽子線を使った放射線治療はこの原理を応用している。「腫瘍の前後を突き抜けるX線と異なり、腫瘍に到達すると、それより後方の正常な組織にはほとんど影響を与えません」と菱川センター長は説明する。陽子線は乳房の奥にある心臓や肺に当たらず乳房内のがんに照射できる。ところが、軟らかい乳房は固定が難しく、これまでは陽子線治療の対象外とされていた。

 同センターでは乳房の固定方法を4年間かけて開発し、2例の早期乳がんに治療で照射した。具体的には3Dプリンターを使い、患者ごとに乳房の形を再現したカップを作り、特殊な接着剤で取り付け乳房を固定する。カップは照射後に入浴しながら取り外せる。

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