インタビュー

進歩する放射線がん治療=メリットは患者の負担減

 ◇もっと理解を 

3方向から同じように照射すると、がんでない臓器にも影響を与えてしまう(同科ホームページより)
 日本放射線腫瘍学会の調査によると、放射線治療の認知度は60%以上なのに、実際に治療を受けた患者はほぼ30%にすぎず、10年前の25%からあまり変わっていない。そういう中で、放射線治療の専門医はある程度増加して若い医師が寄せる関心も高まり、東大医学部でも年に3~4人は放射線治療を専門に選ぶようになっている、という。患者側や社会全体に対する認知度を上げ、治療時に放射線治療を選択してもらえるような情報発信も求められている。

放射線量を調整することで、腫瘍部分だけに放射線を集中的に照射できる(同科ホームページより)
 治療を支える専門スタッフの処遇や養成にも課題が残る。

 「実際に治療時に必要な照射量を算出したり、放射機器を調整したりする医学物理士は、放射線治療には欠かせない存在だ。しかし、国家資格でないこともあって処遇は非常に悪い」と中川准教授。実際、放射線治療部に勤務する物理士も病院の正規スタッフにはなれないでいる。機器の専門家ではない技師や医師が治療時の機材運営や管理に携わらずを得ない医療機関も少なくない、といわれている。

 この点について中川准教授は「医師や機材だけが整備されても、支援スタッフが十分でなければ治療成績は上がらない。がんに対して治療効果が証明されている3大療法の一つとされ、全国の拠点病院で十分な治療を受けられるようにするには、さまざまな支援が必要だ」と訴える。(了)


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