インタビュー

シームレスな教育で日本をリード
早い段階で臨床経験-秋田大医学部

 戦後初の医学部として創設された秋田大医学部は、卒業前から卒業後までシームレスにつなぐ教育を早くから実践し、注目されてきた。「秋田モデル」とも言われる医療教育に加え、地域の医師にも開放されているシミュレーション教育センターは日本トップレベルの充実度。医学部教授から秋田大のトップに就任した山本文雄学長に医療教育の今後、医学生への期待などを聞いた。

 ◇県民の総意

 --秋田大医学部が創設された経緯、意義は。

秋田大学医学部付属病院シミュレーション教育センター
 山本学長 戦前戦中を通じて東北地方は医療レベルが低く、特に農村部は患者が医者にかかるチャンスもなかった。秋田はへき地で雪国、さらに面積も広大であり、医師の養成機関がないことで県民は心細く、いつも心配を胸にすごさなければならなかった。こうした背景から県民が医学部設置を望んだ歴史がある。1970年に医学部ができたが、「一県に一校の医学部」と叫ばれていた中で、秋田県民の気持ちを受け、知事が精力的に動き、戦後初の創設につながった。

 ◇医師の偏在と不平等

 --秋田モデルとも言われる医療教育が注目されている。始めた背景は。

 山本学長 秋田市内の医師充足率は全国平均より少し上だが、秋田市を出ると半分。医師の偏在もある。例えば、あるエリアでは産科医不足で地元でお産ができない。医療の偏在、不平等がでている。

 医師を秋田県にどうやって根付かせるかという課題から端を発し、教育力の向上を図るため秋田モデルを展開した。優秀な教育をして、地域医療に造詣の深い医師を輩出することが医療充実の近道になると考えた。

 その中で、シームレスな医療教育、早くから医療を経験させることを骨子としたユニークな教育を行っている。秋田大の医療教育レベルは、おそらく日本をリードしている。

 ◇トップクラスの充実度

 --臨床のシミュレーション教育センターを早くに設立した。その狙いは。

シミュレーション教育センターで練習
 山本学長 シミュレーション教育センターは日本でトップクラスの充実度だ。初期の臨床研修医は、静脈注射、採血を患者で練習させることは、いきなり生身の人間にはできないため、シミュレーターで練習させる。臨床を早く経験させ、「秋田大の医療教育はすごい」と思ってくれれば、秋田に残ってくれるのではないかとの意図もあった。スムーズに臨床に入っていけるトレーニングをさせることができ、成果をあげているため海外からも視察に来ている。

 --語学教育にも力を入れている。

 山本学長 海外大学との交流に加え、卒業生がアメリカで活躍するということも必要でしょう。留学もさせたいが、医学部カリキュラム、国家試験があるため、まずは夏休みなどを利用して短期の留学。臨床研修が終わった後に2、3年留学するような格好にしたい。

 国際的に活躍したい学生を集める効果もあるが、医師は世界を視野に入れた活動をしなくてはいけない。例えばアフリカでのエボラ出血熱など、どこかで緊急患者が出たら、自分のことは差し置いてでも人の命を救うという精神が必要。それに資するには英語は必須と考えている。

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