一流に学ぶ 難手術に挑む「匠の手」―上山博康氏

(第9回)手術実績に集まる信頼=教授への道目指す

 大学の医局に戻ってから半年、手術や外来を担当させてもらえない日々が続いたが、完全に干された状態にようやく終わりが見えた。上山氏が置かれた状況を察知した関連病院の医師たちが、助け舟を出してくれたのだ。

 「今は亡き杉田虔一郎教授(信州大学から名古屋大学の教授になった日本の動脈瘤手術の第一人者)が面白い手術があるから見に来るようにと教授に掛け合ってくれたりして、僕を干すようなことをしたら、周囲の目が許さないという状況をつくってくれました。伊藤先生が、天から味方してくれているのだと思いました」

 1年半という短い期間だったが、秋田脳研の伊藤氏の下で修行を積み、上山氏の手術の腕は格段に上がっていた。上山氏の専門は脳動脈瘤だが、ある時、脳腫瘍の手術の執刀を命じられた。しかも、聴神経腫瘍という難易度の高い手術だった。

 「腫瘍が顔面神経とくっついていて、僕にはどうせできないだろう、途中でギブアップするだろうという目算のもと、手術を任されたことは、すぐに分かりました」

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