女性アスリート健康支援委員会 月経の悩み、ありませんか

拒食や過食、将来の不妊にもつながるリスク
中高生が「無月経」とともに知っておきたいこと


 ◇結婚して子どもが欲しくなったときに

 思春期の無月経を放置すると、長い目で見て、子宮の発育にもよい影響はありません。

 女性アスリート健康支援委員会のカラダテキストブック「スポーツ女子をささえる人に知ってほしいこと」より
 百枝先生のところには、20代後半になってから、思春期以来抱えていた無月経の問題を相談に来た女性アスリートがいました。結婚して子どもが欲しくなって初めて、きちんとした排卵を取り戻そうと思ったそうです。

 「その女性は、トレーニングを減らしてエネルギー不足を改善した結果、比較的早く自発的な排卵と月経が戻り、妊娠して出産することができました。治療としては理想的でした」と百枝先生。

 ただし、エネルギー不足の改善だけで月経がもどらなくなってしまった人は、女性ホルモンのエストロゲンでつくる薬剤を使うホルモン療法が治療の選択肢となります。「それでも、月経がなかなか戻らず、不妊治療で苦労している元選手もいます」

 ◇BMIや成長曲線のサインにも気づいて

 ですから、スポーツ女子は将来の健康を守るためにも、思春期は無月経にならない範囲で、スポーツをがんばってほしいと思います。保護者と一緒に、無月経以外の体のサインや、食生活に気を付けることも大切です。

   

 女性アスリート健康支援委員会主催のシンポジウム「運動無月経を考える」で発言する百枝幹雄先生(右から3人目)=2018年12月、東京都内
 「例えば、アスリートは体格指数(BMI)が18・5を切ると、5人に1人が無月経になるというデータがあり、非アスリートよりもかなり割合が高い。標準体重だと、85%を切るかどうかが目安です」と百枝先生。家庭に体脂肪がはかれる体重計があれば、自宅でもチェックできます。

 身長と体重から発育度合いをみる「成長曲線」を、スマホのアプリなどを使って見ることもできます。成長曲線は学校で養護教諭らがチェックしているもので、標準体重との差は一目瞭然(りょうぜん)。「成長のピークの10歳から12歳くらいで、標準よりも身長や体重が伸びていないと『気を付けた方がいいな』と分かります」(百枝先生)。(水口郁雄)


◇百枝幹雄先生プロフィルなど

◇「中高生は無月経にならないのが一番」(月経の悩み、ありませんか 中高生のスポーツ女子が健康を守るための基礎知識・上)

◇ 「ピルでコントロール」も選択肢に(月経の悩み、ありませんか 中高生のスポーツ女子が健康を守るための基礎知識・下)




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