「医」の最前線 患者会は「今」

水補給が生命線の難病「腎性尿崩症」
医師の認識不足が死を招く 長男の急逝を契機に患者会

 腎性尿崩症は遺伝子疾患で、9割がX染色体劣性遺伝形式、約1割が常染色体劣性遺伝形式です。このうちX染色体の場合は男性で発症し、女性はキャリアー(軽い発症と原因因子を持つ)として生活しています。そうした女性と正常な男性の間で生まれた子どもは、男女とも2分の1の確率で劣性遺伝を受け継ぎ、男子で発症します。

 これに対して常染色体劣性遺伝形式は男女を問わず、いずれもキャリアの父母から一つずつ二つの劣性遺伝子を受け継いだ場合に発症し、その確率は4分の1です。しかし、発症者と正常な方の子どもはキャリアーで発症しません。

第118回 日本小児科学会学術集会にブース出展した腎性尿崩症友の会(大阪国際会議場)

 ◇不安を抱かせる医師

 それなのに、出産を考えていた腎性尿崩症の患者が担当医に遺伝に関して質問した際、担当医は遺伝形式を確かめないまま、X染色体劣性遺伝形式を説明。その患者は女性で発症者ですから常染色体劣性遺伝形式です。夫は正常でしたが、出産に不安を抱いたと聞いています。

 この医師が、希少疾患の腎性尿崩症に関して正確な知識を持っていたかどうか。知らないことやできないことは、患者に率直に伝えてほしいと思います。そうでなけらば、患者と医師の信頼関係が壊れてしまいます。

 患者が小児期から成人期に移行する際、医師間の連携・協力にも不十分さを感じます。小児期の担当医が「大きくなったから、今度から内科の○○先生の診察を受けてください。○○先生に『君のことは、今までの経過も伝えておくからね』」と言われたら、安心できるに違いありません。

 ◇遠足で水の補給は?

 友の会が行っている主な認知活動は、(1)日本小児科学会学術集会などでのブース展示(2)難病のこども支援全国ネットワーク親の会連絡会関西部会に参加-などのほか、「腎性尿崩症の理解のために」と題した冊子を製作しています。

 講演活動では、長男が手術を受けた際の病院での対応などをお話しするほか、腎性尿崩症の専門医やセカンドオピニオンを得る際の医師の紹介などでの協力を要請しています。

徳島県で開かれたレアディジーズデイに参加する「腎性尿崩症友の会」会員

 生活上の工夫や就職する際の対応などに関する患者や家族の情報交換は極めて重要で、互いに助け合っています。

 「夜中におしっこに起こす方がいいのか。オムツの方がいいのか」「学校で水筒の水が無くなった時の補給方法は」「遠足の時のトイレと水の補給方法は」

 医療者側は、日常生活の工夫や学校の問題に答えが出せませんから、患者や家族が具体的な解決策を模索します。「就職の際、病名を告げた方が良いのか。告げない方が良いのか」。これは永遠のテーマですが、私は息子が病気を企業に伝えて就職した経験をお話しています。「参考になり、不安を取り除くことができれば…」と思います。


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