「医」の最前線 緩和ケアが延ばす命

世界的には心不全が第1位―緩和ケア〔9〕
治療と並行で大きなメリット

 ◇「末期の前」から

 まだまだ解明されていない側面もありますが、生存の延長はともかくとしても、生活の質の観点から治療や方針を考えることはとても重要です。

 そのようなアプローチを早期から治療と並行することは、どう考えてもメリットが多く、目立ったデメリットはありません。

 難点は、少なからぬ医療者が緩和ケアを末期中心と捉え、またがん治療病院の緩和ケア担当医がどれだけ治療や副作用対策に関する相談に乗ってもらえるかといった面でも差がいまだに存在することです。

 緩和ケアの医師も増えては来ており、次第に早期関与の度合いは増えるでしょう。ぜひ一般の方にも「末期の前」から緩和ケアを受けることの意義や利点を知っていただきたいと思います。(緩和医療医・大津秀一)

大津 秀一氏(おおつ・しゅういち)
 早期緩和ケア大津秀一クリニック院長。茨城県出身。岐阜大学医学部卒。緩和医療医。京都市の病院ホスピスに勤務した後、2008年から東京都世田谷区の往診クリニック(在宅療養支援診療所)で緩和医療、終末期医療を実践。東邦大学医療センター大森病院緩和ケアセンター長を経て、遠隔診療を導入した日本最初の早期からの緩和ケア専業外来クリニックを18年8月開業。
 『死ぬときに後悔すること25』(新潮文庫)『死ぬときに人はどうなる 10の質問』(光文社文庫)など著書多数

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