こちら診察室 医療チームの一員! ホスピタル・ファシリティドッグ

ただそばにいるだけで、力に
~ファシリティドッグと過ごした子どもたち~ 【第10回(最終回)】

 ◇ファシリティドッグ、知ってもらうために

 ―今回、アイビーやマサについて「知らない人に伝えたい」と集まってくれました。こういう気持ちになったのはどうしてですか。

 星 マサがいるだけで、治療の怖いことを全部忘れちゃうんです。「マサはすごい」ということを話したかったんです。

お友達とボールで遊ぼうとするマサ。冬休みのこの日、座談会に駆け付けてくれた

お友達とボールで遊ぼうとするマサ。冬休みのこの日、座談会に駆け付けてくれた

 宇都宮 病気の人は自分以外にもたくさんいるから。「自分だけじゃないんだよ」ということをその子たちに伝えたいと思っていて、その中で、「少しでも気持ちが楽になるために、ファシリティドッグという存在がいるよ」と話したかった。自分もつらかったけど。

 永山 私が自分の体験を話す活動に参加するようになったのは、入院中の友だちに誘われたからです。それまでは、ただ自分の中の思い出でした。でも、声を掛けてもらった時に「もしかしたら、入院の先輩たちがこうした活動をしてくれていたおかげで、私もアイビーに会えたのかもしれない」と思うようになりました。だったら、自分も恩返しじゃないけど、今頑張っている子たちのサポートをしたい。活動を通じて、多くの人にファシリティドッグのことを知ってもらいたいと思っています。

 そのためにはこの活動を活発化することと、ファシリティドッグの育成などにはお金も必要です。前回行ったクラウドファンディングなども、積極的に今後もやらなきゃいけない。私たち経験者がいろいろな場所で話をして、ファシリティドッグについて興味を持ってもらって、数を増やす道のりの一歩に近づきたいです。

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マサと久しぶりに再会し、うれしそうな宇都宮さん(左)と星さん

マサと久しぶりに再会し、うれしそうな宇都宮さん(左)と星さん

 現在、ファシリティドッグは全国で4病院、4頭しか活動できていない。このたび、東京都立小児総合医療センターに2チーム目を導入すべく、1月から3月14日までクラウドファンディングを実施、第2目標金額3055万円を達成した。

 治療に対する恐怖や不安は、大人にも言える。子どもとその家族にとっては、計り知れないだろう。寄り添うだけで、こうした気持ちを溶かすファシリティドッグが、今後多くの病院で活躍できるようになってほしい。(柴崎裕加)

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