ダイバーシティ(多様性) 当事者が見た色覚特性のキラキラした世界

紅葉で高揚できる、楽しめる
~過度な不安必要なく~ 【第1回】

 ◇特徴知れば対処可能

 色覚特性のほとんどは遺伝による先天的なものです。1色覚やⅢ型などに分類される人の大半は別の重度視疾患を持っていて、合併症で起こることが多く、色の認識以前に視力が弱いケースばかりです。先ほど言ったような「白黒の世界」にいる人はほぼいません。

 このコラムを読んでいる人の中には、色覚特性の子どもを持つ親が少なくないと思っています。わらにもすがる思いで、子どもの未来を何とか手助けしたいと望んでいることでしょう。「子どもがどういう世界を見ているのか」「色覚特性でどれだけ困っているのか」。不安でいっぱいの親は多いのではないでしょうか。

 後ほどお話しするかもしれませんが、色覚特性は基本的に自分の子どもには遺伝しません。隔世遺伝と言われ、子どもではなく専ら孫に遺伝します。自分が持っていない特性を子どもが持っていると不安ですよね。でも、こうした傾向が分かれば対策は取れます。

 ◇苦手意識捨てよう

 ちなみに、前ページのイラスト部分は全て私が描きました(どや!)。私は41歳になった今でも絵を描くのが好きです。小学校時代には県の絵画コンテストで最優秀賞をもらったこともあります。その頃は色覚特性があると親から知らされておらず、色を塗ることにも自信満々でした。ところが、絵の具をめぐる、あるきっかけから色覚特性を意識します。私は一時期、苦手意識を持ち、絵を描かなくなりました。苦手意識は人を萎縮させます。歌が苦手な人が歌手を目指さないように、色覚特性を持つ人は絵を描くことに消極的になっている気がします。

 でも見てください。コンビニ、スーパー、書店に至るまで、並んでいる週刊漫画雑誌がいかに多いか。しかも、そのほとんどがモノクロで描かれています。イラスト、絵、漫画のいずれも色は絶対必要ではないのです。そう考えると、私も「絵を描いていいんだ!」と思えるようになりました。

 次回はこういったポジティブな捉え方や、ポジティブ過ぎる私の幼少期と経歴・経験、そして色覚との付き合い方、メガネ屋としてどう考えているのかについて掘り下げてみましょう。(了)

 長瀬 裕紀(ながせ・ゆうき) 1級眼鏡作製技能士。過去に量販眼鏡店に就職するも勉強不足を痛感。修行のため眼科コメディカルとして10年弱勤め、年間3500人以上の目のケアに携わる。認定眼鏡士SS級のプロとして現在は吉祥寺の眼鏡店(グラストリーイカラ https://www.g-ikara.jp/)で勤務し、2022年度から始まった国家資格「眼鏡作製技能士」の試験に合格した。自身の体験談を踏まえた色覚特性のブログが人気を博し、数多くの問い合わせや相談が寄せられている。

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