骨塩定量検査 家庭の医学

 加齢により骨は弱くなりますが、これは骨密度(骨量)を調べることで評価できます。骨密度が異常に低下し、骨折しやすくなる病態は骨粗鬆症(こつそしょうしょう)と呼ばれ、特に閉経後の女性に多いことがわかっています。健康寿命を延ばすためには予防や治療が重要です。骨粗鬆症の診断では、骨密度が平均的な値とくらべてどのくらい減っているかを評価しますが、このために使用されるのが骨塩定量装置です。
 骨塩をもっとも正確に測定できるのが、腰椎や大腿(だいたい)骨、全身を測定できるDXA(DEXA)(デキサ:dual energy X-ray absorptiometry)法の装置です。弱いエネルギーのX線を使い、撮影された腰椎と大腿骨の、指定した範囲の骨密度を測定します。
 検査は簡単で、検査台の上に横になるだけで、痛みもなく短時間で終わります。あとは装置が自動的に骨量(骨密度)を解析し、若い人の平均値(YAM:Young Adult Mean)の何パーセント相当か、同年代の平均値の何パーセントかを示してくれます。被曝量はきわめて微量です。全身の測定では、骨塩量ばかりでなく、全身や部位別の脂肪量、除脂肪量なども計算できるので、肥満ややせの判定、筋肉量の推定などにも使えます。
 このほか小型の簡便な装置として、前腕のDXA装置やかかとの超音波(エコー)装置もあり、検診やスクリーニングに使われます。

(執筆・監修:自治医科大学 教授〔臨床検査医学〕 紺野 啓)