脳炎、急性脳症〔のうえん、きゅうせいのうしょう〕 家庭の医学

 子どもが、急激に意識障害などの脳障害を起こしてくる病気です。

[原因]
 脳炎は、ウイルス感染に引き続いて脳に炎症が起こるもので、ヘルペスウイルス、麻疹(ましん:はしか)風疹(ふうしん)日本脳炎などが原因です。
 急性脳症は、インフルエンザや突発性発疹などのウイルス感染のあとや、薬物、生まれつきもっている先天代謝異常が一時的に強くあらわれるものなど原因はいろいろあります。

[症状]
 ウイルス感染に伴うものは、感染に引き続き、あるいは数日後にぐったりして、高熱、嘔吐(おうと)、意識がはっきりしない、けいれんなどの症状を起こします。脳のむくみがみられ、自然に治る場合もありますが、後遺症を残したり死亡することもあります。

[治療]
 原因があきらかなときはその治療をおこないますが、原因が不明であったり、治療法がないこともあります。ウイルス感染では、ヘルペスウイルスに対する治療薬はありますが、ほかのウイルスに対する治療薬はありません。インフルエンザ脳症は、急激に発症することも多いため、インフルエンザ治療薬の治療効果ははっきりしません。
 脳のむくみを取る薬による治療、全身管理、けいれんに対する治療などが必要です。ステロイドホルモンなど、免疫を抑える薬も使用され、脳低温療法などいろいろな治療法が試みられていますが、治療法は確立していません。一部の解熱薬は症状をわるくし、死亡率を高めると考えられています。予防のために、はしか、インフルエンザなどのウイルスに対するワクチン接種が重要です。
 一部の脳症は小児慢性特定疾患および難病医療費助成制度対象疾病(指定難病)に指定されています。

【参照】脳・脊髄・末梢神経・筋の病気:脳炎

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