筋ジストロフィー〔きんじすとろふぃー〕 家庭の医学

 筋肉が徐々にこわれていくために、力が弱くなる病気です。いろいろなタイプの病気があり、それぞれ特有の遺伝子に異常が出たために起こります。病気により症状があらわれる年齢、進行の度合い、力が弱くなる部位が違い、合併症をもつこともあります。
 根本的治療法はありませんが、それぞれのレベルにより、関節が固まるのを防ぎ、筋力を保つ訓練や呼吸訓練などのリハビリ、心臓のはたらきを保つ治療、呼吸器感染の予防と早期治療、たんを出す力が弱い場合の補助などが必要になります。
 多くの筋ジストロフィーは小児慢性特定疾患および難病医療費助成制度対象疾病(指定難病)に指定されています。

■福山型先天性筋ジストロフィー
 生まれてすぐ、から2~3カ月のうちに症状が出はじめます。筋肉がやわらかくて力が弱く、くびのすわりが遅れるなどで気づかれます。すこしずつ発達し、かなり遅れますが、お座りまでできることが一般的です。脳の障害もあり、知能障害やけいれんを合併することもあります。呼吸障害、心臓のはたらきの低下などにより、20歳前後で死亡します。

■デュシェンヌ型筋ジストロフィー
 ジストロフィンというタンパクをつくる遺伝子の変化でジストロフィンがつくられなくなり筋肉が徐々に弱っていきます。一人歩きをするまではほぼ正常ですが、3歳以降より走れない、階段がのぼれない、ひざに手をついて立ち上がるなどの症状があらわれます。ふくらはぎの筋肉がかたく太くなります。筋力の低下は徐々に進み、10歳代前半で歩けなくなり、10歳代後半から呼吸や心臓のはたらきが弱くなり、20歳代で死亡します。ステロイドホルモンが進行を遅くする効果があります。一部の遺伝子の変化の型に対して、短いジストロフィンがつくれるようにする薬が認可されています。

■先天性筋強直性ジストロフィー
 筋強直性ジストロフィーの母親から生まれた子どもがかかることがあります。生まれたときから、筋肉の緊張や力が非常に弱く、人工呼吸管理が必要になることもあります。
ただし筋肉の症状はすこしずつよくなっていき、発達全体は遅れますが歩けるようにもなります。知能障害やけいれん、あるいは白内障糖尿病などを合併することがあります。
 なお、筋ジストロフィーは国が指定する難病医療費助成制度対象疾病(指定難病)の一つです。

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