てんかん

 熱がなくて、けいれんや意識消失などの発作をくり返す病気をてんかんといいます。からだの一部のけいれんだけで、意識が正常な単純部分発作、部分発作で意識がはっきりしなくなる複雑部分発作、全身の発作症状を起こす全般発作などがあり、部分発作から全般発作へひろがることもあります。
 発作のかたちとして、全身の筋肉がかたくなりその後ガタガタふるえる発作(全般強直間代けいれん、大発作)、意識消失して動きがとまる発作(欠神発作、小発作)、からだがピクッとする発作(ミオクローヌス発作)、感覚発作、力が抜けて倒れる発作(脱力発作)など、いろいろな発作があります。多くは脳波検査で発作波が検出されます。新生児から学童まで、どの年齢でも起こりますが、てんかんの種類によっては特定の年齢にのみ起こります。

[原因]
 多くは原因がはっきりしません。頭部外傷、脳炎髄膜炎のあと、脳性まひに伴うものなどの脳の傷によるもの、低カルシウムや低血糖などの代謝異常によるものなどもあります。てんかんの一部には遺伝性があります。てんかんを起こす遺伝子異常も見つかってきています。

[種類]
 発作の症状、発症した年齢や脳波所見から分類します。大きく、脳全体に同時に発作が始まる全般てんかんと、脳の一部の発作症状から始まる局在関連てんかんに分類します。それぞれを機能的なものである特発性、脳の器質的な病気がある症候性、器質的な病気があると推定されるが確認されない潜因性に分けます。以下に、代表的な疾患を記載します。

■特発性全般てんかん
□小児欠神てんかん(純粋小発作)
 5歳から15歳ぐらいの子どもに起こります。突然意識がなくなり、動きがとまります。姿勢はそのままですが、目の焦点が合わないようになり、持っているものを落としたり、呼んでも反応がないことなどで気づかれます。数秒から数十秒で意識が戻ります。深呼吸をくり返すことやピカピカする光の刺激で発作が引き起こされることもあります。
□若年性ミオクローヌスてんかん
 10歳代くらいから発症します。手や肩がピクンと動くミオクローヌス発作、起きているときの全般強直間代発作、欠神発作などを起こします。

■症候性・潜因性全般てんかん
□ウエスト症候群
 生後4カ月から1歳ごろまでの乳児に起こります。一瞬、くびを前にカクンと下げ、同時に手足を前にピクンとする発作を、数秒間隔で何回かくり返します。おじぎをするような発作なので点頭てんかんと呼ばれています。結節性硬化症や生まれる前後の低酸素による脳障害などの病気に伴って起こすこともあります。注射による治療薬がありますが、治療が遅れると知的障害を起こしてくるので、早期に発見し治療することが重要です。
□レノックス症候群
 全身を短時間強直する発作、ボーッと意識がはっきりしなくなり徐々にからだがくずれていく発作、からだがピクンとするミオクローヌス発作やバタンと倒れる発作など、いろいろな発作を起こしてきます。ウエスト症候群が治らずに引き続くこともあります。治りにくく、知的障害を伴うことも多くみられます。

■特発性局在関連てんかん
□中心側頭部に棘波をもつ小児良性部分てんかん
 4歳ごろから10歳ごろに起こり12歳ごろまでに自然に治ります。顔の片側が引きつる、よだれが出る、片方の手足がつっぱるなどの発作を起こし、時に全身のけいれんを起こします。眠っているときに発作を起こし、脳波でも睡眠時に発作波が多発します。脳波異常にくらべて発作は少なく発作を起こさない人もいるので、抗けいれん薬の服用治療は発作をくり返すときだけにします。

■症候性局在関連てんかん
 手や足などからだの一部分がつっぱったりピクピクしたりする発作、からだの一部がくり返す自動的な動き、においや同じものが見えるなどの感覚発作など脳の一部分に限られた発作の症状を起こします。ふつう意識は保たれます。これらの発作のあとに全身のけいれんを起こしたり、部分発作の症状がはっきりしないで、全身のけいれんで始まることもあります。部分発作を起こしていながら意識がはっきりしなくなった場合を複雑部分発作といいます。意識がなく、口をモグモグしたり、手をくり返して動かしたり、歩き回ったり、精神症状を出すなどの精神運動発作と呼ばれるものも含まれます。
 発作が始まる場所により、前頭葉てんかん、側頭葉てんかん、頭頂葉てんかん、後頭葉てんかんに分類します。

[治療]
 発作の症状、脳波検査、神経学的検査、血液検査の結果などから、原因疾患とてんかんの分類を診断して治療をおこないます。原因となる病気がある場合はその治療を優先します。
 てんかんの治療においては、てんかんの種類により薬が違うので、適切な治療薬を選択して内服治療をおこないます。近年、抗てんかん薬が認可されて使用できるようになり、発作が抑えられることも多くなってきています。
 毎日、継続的に内服し、血液中の薬の濃度をはかりながら有効な量を決めていき、発作が起こるのを防ぎます。1つの薬での治療を目指しますが、一部には治りづらく、数種類の薬をのむ必要がある子どもや発作抑制が困難な子どももいます。
 発作が抑えられても数年間は内服を続けることが必要で、根気よく薬をのむことが必要ですが、てんかんの多くは治癒し、薬を中止することが可能です。最近、薬では治りきらない患者に対して、脳の手術もおこなわれています。
 けいれん発作時の対応は「熱性けいれん」を参照してください。

【参照】脳・脊髄・末梢神経・筋の病気:てんかん
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