鼻・副鼻腔腫瘍〔び・ふくびくうしゅよう〕 家庭の医学

 鼻・副鼻腔にもいろいろな腫瘍ができます。
 良性腫瘍で頻度の高いのは乳頭腫(にゅうとうしゅ)です。35歳以上の人に発生することが多く、男性に多い傾向があります。ほとんどは片側のみにみとめられ、鼻腔と上顎洞(じょうがくどう)の境目から発生し周辺に拡大するのが多いパターンです。

 症状は鼻閉(びへい)、鼻出血、嗅覚障害などで乳頭腫に特徴的な症状はありません。診断には病変の一部を切除しておこなう病理組織検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像法)検査による画像検査が有用です。治療は手術療法ですが、病変部位や大きさによっては内視鏡による手術が可能です。ただし、乳頭腫は再発しやすく、またわずかではありますが悪性変化、すなわちがん化することもあり、術後も定期的なチェックが必要です。
 悪性腫瘍では上顎洞にできる上顎がんが多く、副鼻腔がんの90%以上を占めます。60歳以上の高齢者に多く発生し、男女比はやや男性に多い傾向があります。ほかには、悪性リンパ腫や悪性黒色腫などが発生することがあります。

 症状は、初期では片側の鼻腔よりの悪臭を伴う鼻漏(びろう)や鼻出血であり、歯や顔面の痛みが生じることもあります。さらに進行すると、頬(きょう)部のはれや眼球の突出、ものが二重に見えるなどの症状が出現することがあります。また、頸(けい)部(くび)のリンパ節に転移するとかたくはれます。診断は病理組織検査と画像検査によります。
 上顎がんに対する治療は、基本的に放射線を患部に当てる放射線療法、上顎洞に栄養を送っている動脈にカテーテルという細い管を入れそこから抗がん薬を注入する方法(動注化学療法)、そして手術の3つの治療方法を進行度に応じて組み合わせておこないます。これを三者併用療法といい、よい成績を得ています。
 ほかの部位のがんと同様に早期発見、早期治療がなによりも大切です。このような症状をはじめ、すこしでも不安に思うことがあれば早めに専門医を受診してください。

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