腸結核〔ちょうけっかく〕 家庭の医学

[原因]
 多くは肺結核の患者が結核菌を含んだ痰(たん)を飲み込むことから起こります。肺結核の減少に伴い腸結核も減り、現在では活動性の腸結核はまれです。

[症状]
 活動期には下痢、腹痛、発熱、倦怠感(けんたいかん)などの症状が出現します。特に小腸の結核では、栄養状態が急にわるくなり体重が減少し、顔色もわるくなります。炎症が進むと腸管の内腔が細くなることがあり、吐き気や嘔吐(おうと)を伴います。
 中高年者ではこのような症状に気づかずに腸結核が自然治癒し、その後、腹部、多くは右下腹部にしこりが偶然見つかることがあります。

[治療]
 活動性の腸結核には抗結核薬を投与します。また、腸炎のときのように消化のよい食事にして、腸を安静に保つ必要があります。抗結核薬によく反応し、ほとんど内科的治療で軽快します。ただし、後遺症として腸管が狭くなったときは、その部分を切除する手術が必要となることもあります。

(執筆・監修:医療法人社団哺育会 桜ヶ丘中央病院 外科部長 榎本 雅之)
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