基礎体温法 家庭の医学

 基礎体温とは体温に影響を与えるような諸条件を除いた基礎状態で計測した体温のことで、朝、目が覚めたときに口の中に女性用体温計を入れて検温します。排卵が起こると、黄体ホルモンが分泌され、その影響で体温が高くなるため、基礎体温が1カ月の間に低温相と高温相の二相に変動します。グラフにすると28日周期の人では、月経周期の前半である約2週間は低く、後半は0.3℃程度高いパターンを示します。低温相と高温相の境目くらいが排卵日とされ、最終低温日の前後2~3日、計4~6日の間に排卵が起こる(排卵期)とされています。
 また、精子は、性交後6日程度は受精能力があるといわれ、そのため、排卵日とその前5日間はセックスを避ける必要があります。
 しかし、月経周期は微妙にずれることもあり、低温期はいつ終わるか、すなわちいつ高温期になるか予想がつかないうえ、睡眠不足や起床時刻、かぜなど体調によって体温が左右されることが多いので避妊法としては確実ではありません。
 さらに、オギノ式といって、基礎体温をはからずに、通常の月経周期から排卵日を推測して、排卵日を避けるリズム法もありますが、この方法ではさらに予期せぬ妊娠をしてしまう人が多くなります。

(執筆・監修:恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 名誉院長 安達 知子
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