新型コロナウイルスの感染症法上の位置付け引き下げから8日で1年となる。季節性インフルエンザと同じ「5類」に変わり、感染対策は個人の判断が基本となった。大型連休を迎えた観光地には活気が戻る一方、医療機関では警戒が続いている。
観光名所の一つ、京都・嵐山では連休谷間の2日も、訪日客らで道路が大混雑していた。生活雑貨などを扱う老舗社長の50代男性によると、観光客の人出はコロナ流行前の水準に戻ったという。道路の渋滞やごみの放置が深刻といい、男性は「観光客増加はうれしいが、行政は受け入れ態勢もしっかり整えてほしい」と訴えた。
土産物店従業員の50代女性も「観光客の回復に伴って食べ歩きする人も増えた。道路にアイスクリームのカップなどのごみが多い」と困った様子だ。
鮮魚店や乾物店が軒を連ねる築地場外市場(東京都中央区)も、通路は訪日客でごった返し、店では呼び込みや接客で英語が飛び交う。海産物問屋の深谷裕之代表(44)は「5類移行後は観光客が増え、7~8割が海外からという印象だ」と話す。記録的な円安の影響もあり、1袋1万円以上する貝柱の詰め合わせなども飛ぶように売れているという。
一方、にぎわいが完全には戻らない場所も。居酒屋が多く並ぶ東京・新橋の料理店「暫亭いろり」の店主松田篤徳さん(83)は「常連客は戻ったが、客の数はコロナ流行前の6~7割くらい」と寂しそうな様子。テレワークの浸透も背景にあるといい、「コロナの影響はまだ尾を引いているかな」と話す。
医療機関では集団感染防止に向け、警戒が続く。大阪市内の病院では5類移行後も、入院患者と家族らの面会制限を継続。昨年10月ごろから徐々に制限を緩和したが公表はしていない。受付窓口のアクリル板は撤去したが、玄関先での検温はいまも実施している。担当者は「感染対策の上でいいところは続けたい」と話している。 (C)時事通信社
「5類」1年、にぎわい再び=観光地、円安も影響―新型コロナ
(2024/05/07 07:05)