国立がん研究センターなどは11日、大きさが1センチ未満の微小な膵(すい)がんの早期発見に向けて、新しい薬剤を使った画像診断法の医師主導の臨床試験(治験)を始めたと発表した。がん細胞をより鮮明に写すことができ、動物実験では3ミリ大のがん検出に成功した。実用化できれば、患者の生存期間の延長などが見込まれるという。
現在は、放射性フッ素を加えたブドウ糖(FDG)を静脈注射し、陽電子放射断層撮影(PET)でがんの有無や位置、他臓器への転移を調べている。1センチ未満の膵がんでは検出感度が低かった。
センターなどの研究チームは、がん細胞の表面に多く見られるたんぱく質に結合する薬剤を開発。ヒト由来の膵がん細胞をマウスに移植したところ、FDGでは見つけられなかった小さい病変を検出。最小で3ミリ大のがん細胞を見つけられたという。
治験の対象は、18~80歳の転移がない膵がん患者。2025年9月までの期間で薬の安全性や投与量を調べた後、対象者を増やして有効性などを最終確認する。 (C)時事通信社
微小膵がん診断の治験開始=新薬で画像鮮明化―国立研究センターなど
(2024/06/12 07:05)