治療・予防

日常生活に支障―リンパ浮腫
治療の選択肢も広がる(JR東京総合病院リンパ外科・再建外科 三原誠医師と原尚子医長)

 リンパ管が何らかの原因でふさがってむくむリンパ浮腫。大半はがんの手術後などに起こる。JR東京総合病院(東京都渋谷区)リンパ外科・再建外科の三原誠医師と原尚子医長は「手術直後だけでなく、十数年後に発症するケースもあります。検査方法や検査技術の進歩で治療選択肢が増えたので、諦めないで相談してください」と語る。

治療の選択肢が増えている。諦めずに相談を

 ▽リンパ節切除で発症

 血液の液体成分であるリンパ液は、静脈が回収しきれなかった老廃物を取り込んでリンパ管に吸収され、最終的に鎖骨下の静脈に合流する。リンパ浮腫はこの一連の流れが滞った場所に強いむくみが出る。約8割が脚、次いで腕への発症が目立つ。片側だけのこともあれば、両側の場合もある。

 三原医師は「がんの手術でリンパ節を切除した人に発症しやすく、子宮がんや卵巣がん、乳がんなどの婦人科系のがんや、男性の前立腺がんの手術でも起こります」と説明。同じ手術でも発症しないケースもあり、原因は分かっていない。

 放射線治療やある種の抗がん薬治療が原因になることもある。また、肥満があると脂肪がリンパ管を圧迫するためリスクは高まる。

 「痛みや違和感、むくみで関節が曲がらず、靴が履けない、服が着られないなど、日常生活にも支障を来します」と原医長。脂肪組織に細菌が感染し、痛みや発熱を伴う蜂窩織炎(ほうかしきえん)を起こすことも少なくない。

 ▽患部圧迫や手術で

 治療は、専用の弾性ストッキングや包帯で患部を圧迫する保存的治療が主体だ。しかし、経過が思わしくなく蜂窩織炎を繰り返すケースでは手術が検討される。手術は、リンパ管と近くの静脈をつなぐ方法が一般的で、手術用顕微鏡を使い局所麻酔下で行う。

 近年、超音波検査の進歩で深層部のリンパ管の存在や、リンパ管の傷み具合、近くを通る静脈の位置まで分かるようになった。原医長は「手術適応外だった患者の約8割が手術可能になりました」と話す。ただし、超音波でリンパ管を探し出すのは非常に難しく、検査ができるのは同院を含めて国内で数えるほどだという。

 予防や改善には運動を心掛け、適正体重の維持が大切だ。長年経過すると皮膚の脂肪組織が肥大したり、皮膚が硬く、厚くなる象皮症になったりするからだ。三原医師は「治療の際は、事前の検査をしっかりと行う医療機関を選ぶようにしてください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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