治療・予防

中高年登山者の脱水対策
計画的な水分補給と休憩で予防を

 中高年の登山では、体内の水分量が不足して起こる脱水症に気を付けたい。高齢者は食事や水分の摂取量が減りがちなことに加え、暑さや喉の渇きに気付きにくい、あるいは我慢するといった傾向にあることから脱水症を起こしやすいからだ。「休憩を終えて腰を上げた時、立ちくらみを起こしたら脱水症のサイン。注意が必要です」と京都橘大学健康科学部救急救命学科(京都市)の西本泰久教授は警鐘を鳴らす。

登山時は、計画的な休憩と水分補給を

 ▽出発前に水分補給

 「高齢の登山者に実践していただきたいのが、水分を補給してから出発するということです。ただし、利尿作用のあるお茶やコーヒーは避けてください」と西本教授はアドバイスする。口から入った水分が腸で吸収され、血管の中に入り全身に運ばれるまで時間がかかるので、出発前に250ミリリットル程度の水分を取ることが脱水症予防の重要なポイントになる。汗をかいたから水を飲むのではなく、これからかく汗の分をあらかじめ補給しておくという発想だ。

 目安として登山開始後、少なくとも1時間に1回の休憩と、その都度500ミリリットル程度の水分補給を心掛ける。山では飲料に適した水の補充場所が限られる。事前の確認も大切だ。

 もう一つ大事なポイントは、飲み物の内容だ。汗とともに失われるナトリウムやカリウムなども補う必要がある。水1リットルに対して塩小さじ半分と砂糖大さじ2杯、あるいは糖分を含むスポーツドリンクに塩小さじ3分の1を加えたものが最適な飲み物になるという。糖分と塩分を同時に摂取すると水分の吸収が促進される。

 ▽筋肉のけいれんに注意

 「立ちくらみと同様に、ふくらはぎなど筋肉のけいれんも明らかな脱水症状です」と西本教授。直ちに日陰に腰を下ろして十分に水分を補給する。回復の目安は30分。それ以上に時間がかかる場合は、誰かがそばに付いて下山し、医療機関を受診する。

 脱水症が進行すると熱中症となり、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)、立てない、飲めないなど、状態は深刻化する。その場合、意識がしっかりしていれば応急処置として、十分に水分を補給すると同時に日陰に寝かせる。毛細血管を収縮させないように、ぬるい水を手足など露出している部分に掛け、あおいで水を蒸発させて体温を下げる。首や脇の下、脚の付け根を冷やすのも効果的だ。

 「脱水症、熱中症は計画的な休憩と水分補給により確実に防ぐことができます。暑い季節は特に万全の態勢で臨んでください」と西本教授は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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