治療・予防

筋肉や心臓に付く「異所性脂肪」
太っていなくても糖尿病やメタボに

 皮下脂肪や内臓脂肪と異なり、肝臓、筋肉などに蓄積し第三の脂肪と呼ばれる「異所性脂肪」。この脂肪がこれらの臓器などにたまると、肥満でない人でも糖尿病やメタボリックシンドロームを起こしやすくなる。生活習慣病を引き起こすメカニズムや予防法について、順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)糖尿病・内分泌内科の田村好史准教授に聞いた。

 ▽インスリンの働きが低下

 日本人は欧米人に比べ、肥満でなくても生活習慣病を発症する人が多い。その原因として近年注目されているのが異所性脂肪だ。田村准教授は、「脂肪組織以外のさまざまな臓器に蓄積した脂肪」と説明する。

 食事から取ったエネルギーのうち消費されず余った分は、ほとんどが中性脂肪として皮下や腹部の脂肪組織に蓄積される。しかし、過去10年にわたる研究から、脂肪組織以外の肝臓、膵臓(すいぞう)、心臓、筋肉にもたまることが分かってきた。

 代表的なのは「脂肪肝」や「脂肪筋」だ。肝臓や筋肉に脂肪が蓄積した状態で、細胞や臓器の機能障害をもたらす。田村准教授は「異所性脂肪が蓄積すると、血糖値を下げる役割を果たすホルモンであるインスリンの働きを低下させ、インスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性と呼ばれる状態を招いて糖尿病やメタボを引き起こします」と話す。

 ▽1日8000歩の運動を

 「日本人を含むアジア人は欧米人に比べ、異所性脂肪がたまりやすく、それほど太っていなくても高い割合で蓄積します」と田村准教授。肥満度を示す体格指数(BMI)が23.5~25の肥満でない日本人男性の33%に脂肪肝が認められたとの報告もある。

 異所性脂肪の蓄積は、肥満と同じく「脂肪分の多い食品や炭水化物を取り過ぎている人や運動不足の人に起こりやすい」と指摘。さらに、「血液検査で中性脂肪値が高い人、善玉コレステロール(HDL―C)値が低い人、ALTなどの肝機能検査値が高い人なども要注意です」という。

 予防法としては、「高脂肪食、高糖質食(果物を含む)を取り過ぎず、定期的な運動を心掛けましょう。細切れでもよいので、通勤や家事も含めて短時間の歩行を積み重ね、歩数にすると1日8000~1万歩(時間に換算すると約80~100分)程度の運動を行うことが望ましい」。自転車なら、少し息が切れるくらいのスピードで15~20分こぐと約2000歩に相当するという。(メディカルトリビューン=時事)

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