ヘルペス治療にメンタルケアも =ありふれた感染症と理解を
ヘルペスはウイルスの感染で唇や性器周辺に水泡や腫れ、痛みやかゆみなどを起こす病気だ。以前は口唇ヘルペスと性器ヘルペスに分けていたが、その線引きは曖昧になってきている。新宿さくらクリニック(東京都新宿区)の沢村正之院長は「一概に性感染症と決め付けるのは、患者さんの心の負担を重くするだけ。(ウイルス型の)1型は唇、2型は性器にできやすいという特徴はありますが、1型でも性器に出ることもあれば、2型が唇に出ることもあります」と説明する。
◇抗ウイルス薬を使用
ヘルペスウイルスは一度感染すると神経節に居座り、疲れやストレス、風邪で、女性の場合は生理時などに再発する。治療の基本は抗ウイルス薬の服用だ。皮膚症状を抑える外用薬もあるが、神経節のウイルスに届かせるためには飲み薬が不可欠。初感染の場合は通常5日間、それで効果が不十分ならさらに5日間服用し、その後は、再発したときにその都度服用すれば症状も軽くなっていく。
ただ、精神的なダメージは再発のたびに進行してしまう。「『無理をすると再発する』『人にうつしてしまう』と思うと人生全般が後ろ向きになってしまいがちです。うつ症状になってしまう人もいますから、ヘルペスの治療はメンタルケアも大切なんです」と沢村院長は強調する。
ヘルペスは特別な病気ではないと沢村院長は話す。「性行為での感染もあれば、親子感染の場合もあります。ヘルペスウイルスは日本人の約45%が感染していると言われています。ごくありふれたウイルス感染症だと考えてほしいのです」
(2017/02/11 16:21)