治療・予防

ダイビングでの体調不良
減圧障害、治療遅れで後遺症も

 水中に10メートル潜ると1気圧が加わり、人間の肺の体積は半分になる。普段の生活の場との気圧の差が引き起こすダイビング中の体調不良について、亀田総合病院(千葉県鴨川市)高気圧酸素治療室の鈴木信哉室長は「治療が遅れると後遺症が生じる恐れもあります」と警鐘を鳴らす。

 ◇減圧障害に注意

 ダイビングでは、体内の気体の容積が気圧の変化に伴い増減し、組織の損傷(圧外傷)をたびたび起こす。代表的なのは耳で、数メートル潜ると、鼓膜が中耳側に引っ張られて痛みが出る。鼓膜の損傷を防ぐために「耳抜き」といわれる動作で中耳と外の圧力を一定にする必要があるが、鼻の通りが悪いと強い痛みや出血を伴うことがある。
 特に注意したいのは、減圧症と空気塞栓症の「減圧障害」だ。減圧症は、浮上する際に体内に溶け込んだ窒素が組織内で気泡化し、関節の痛みや皮膚の発赤、手足のむくみなどを引き起こす。他にもめまい息切れ、手足のまひ、排尿障害など症状は多岐にわたる。
 空気塞栓症は、肺内の圧力が高まって動脈に空気が入り、意識障害や心停止を招く。減圧症と空気塞栓症は同時に起こったり、区別がつかなかったりすることもあるという。
 「潜水直後や浮上直後の呼吸困難や意識不明は重篤になりやすく、一刻も早い治療が必要です。大理石斑と呼ばれる赤いまだら状の皮膚症状も脊髄症状を伴う恐れがあり、治療を急ぐ必要があります」と鈴木室長。

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