新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染防御行動につながる意思決定支援のためのスマートフォン向けアプリを開発 ~新興感染症リサーチ・リソースライブラリーの開発~
【発表概要】
名古屋市立大学(所在地:愛知県名古屋市、学長:郡健二郎)医学研究科次世代医療開発学分野の間辺利江准教授(名古屋市立大学医学部附属西部医療センター・兼務)、ジーワン株式会社(本社:東京都、代表取締役 森啓悟)、昭和薬科大学・神林弾助教、名古屋市立大学医学研究科地域医療教育学分野・川出義浩特任准教授、有隣病院/早稲田大学・工藤宏一郎病院長、防衛医科大学校・藤倉雄二准教授(研究開発参加者)らの研究グループは、COVID-19についての医学・臨床・疫学的観点からの科学的解析に基づいた感染集積マップやリスクアラート、専門家コメントを付けた疫学情報などを発信するスマートフォン向けアプリ(EIDリサーチ・リソースライブラリー)を開発し、2021年7月21日からプロトタイプの公開(実証実験)を開始する。開発したアプリはCOVID-19の状況下、人々の感染リスク回避行動の為の意思決定につながる情報発信を目的としている。
研究グループは、新型コロナ感染症(COVID-19)の感染者情報を当該地域の人口や隣接地域の感染者数等を鑑みた空間疫学解析とシミュレーションにより、最も感染者が集中している地域(集積地域)を当該地域の相対リスク(relative risk)と共に推定、集積地域をマップ上で可視化し、地図上の位置情報との連動を図った。更に、現在地やこれから移動する先等が感染集積地域かどうかをスマホのプッシュ通知機能を用いたリスクアラートと共にアプリ上で示し、アプリ使用者の感染リスク回避行動を繰り返しリマインドする機能を備えた。感染集積地域の解析には、都道府県から公表されている感染者情報より基本的に市区町村データを使用し、発信情報は一週間毎に更新される。さらに、全国や各都道府県の疫学情報を、専門家コメントを交え、“地図から”、“時間の経過から”、“感染者の年齢・性別から”分かりやすく示し、人々の感染リスク回避行動の意思決定につながる科学的情報を発信する。同様の疫学情報は、ウェブ版からも発信する。
公開するアプリのプロトタイプはAndroid版で、情報の発信は全国及び首都圏・東海地域の、東京、神奈川、千葉、埼玉、静岡、愛知、岐阜、滋賀の8都県に限定されるが、今後情報提供地域を拡大していく予定であり、iPhone版のアプリについてもリリースを予定している。
さらにアプリ情報が届きにくい人々(普段スマートフォンを使わない高齢者等)には、健康サポート薬局や地域包括支援センターが感染症情報発信ステーション(EID Information Station: EIDIS)となり、アプリ情報をニュースレターやビデオ等にて提供すると共に、冊子の配布や定期的なミーティング等を通して、高齢者の感染関連健康課題(基礎疾患の管理、フレイルの予防等)の解決にも貢献する。
研究グループでは、感染リスクに関する疫学的、医学・臨床的、人文・社会学的指標を用いて感染リスクをシミュレーション・評価した「COVID-19感染・重症化リスク算出アルゴリズム」や「感染予測モデル」、ヒト・モノの動きを考慮した「仮想都市モデル」等の開発も行っている。今後これらの研究成果との連動を図ることで、人々の感染防御(感染リスク回避)行動の意思決定を支援する科学的かつ分かりやすい情報発信モデルの構築を目指している。
【本研究について】
本研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業 「超スマート社会の実現」領域・異分野共創型のAI・シミュレーション技術を駆使した健全な社会の構築、における研究開発課題『感染リスク共存社会を支えるCPSモデルによる意思決定支援基盤の構築(研究開発代表者:名古屋市立大学・間辺利江)』により行っています。
【研究に関する問い合わせ】
名古屋市立大学大学院医学研究科次世代医療開発学分野 准教授
名古屋市立大学医学部附属西部医療センター臨床研究支援センター 副センター長
間辺 利江
名古屋市立大学医学部附属西部医療センター
住所:名古屋市北区平手町1-1-1
E-mail:crmanabe@med.nagoya-cu.ac.jp
【報道に関する問い合わせ】
名古屋市立大学 医学・病院管理部経営課
名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1
TEL:052-858-7114 FAX:052-858-7537
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(2021/07/21 15:49)