治療・予防

室内環境の改善を―シックハウス症候群
~5千人調査、3割に可能性(千葉大学予防医学センター 鈴木規道准教授)~

 頭痛や鼻水、喉の乾燥、目がチカチカするなどの症状が表れる「シックハウス症候群」。室内の空気汚染が原因の一つだ。最近、同症候群についてウェブ調査を行った千葉大学予防医学センター(千葉市)の鈴木規道准教授に聞いた。

 ▽室内空気汚染が原因

 鈴木准教授らの調査では、新築またはリフォーム5年以内の住宅に住む約3000人を含む約5000人から回答が得られ、うち約27%がシックハウス症候群の可能性があるとされた。

 シックハウス症候群を引き起こす室内の空気汚染は、住宅の建材や家具に使われる塗料、接着剤、防腐剤などの化学物質やカビ、ダニなどが原因。省エネのため住宅の隙間がなくなり、汚染物質がこもりやすくなっている。

 建材の化学物質は、建築基準法が2003年と18年に改正され、規制がかけられた。それ以降は同症候群の人が減少したとの見方もあったが、鈴木准教授らの調査では現在も少なくないという。「規制されていない化学物質を含む建材の使用が原因の可能性もあります」と推測する。

 ▽生活を見直して予防

 調査によれば、シックハウス症候群は、女性で男性の1.2倍起こりやすかった。20代、30代、40代は60代と比較してそれぞれ約2.4倍、約2倍、約1.4倍、ぜんそく、アレルギー性結膜疾患、食物アレルギーの人は疾患歴のない人のそれぞれ約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍リスクが高かった。さらに、「神経性が敏感な人」はそうでない人に比べ約1.6倍リスクが高かった。

 生活環境に関しては、室内の喫煙、カーペットの使用、ほこりをよく目にする室内環境で、そうした要因がない層と比べてそれぞれ約1.3~1.6倍リスクが高かった。そのほか、化学物質を低減した住宅に住む人はそうでない人に比べ、リスクが23%低いというデータも得られた。

 予防法について、鈴木准教授は「今回の結果から、室内で喫煙しない、カーペットの使用を控える、室内を適切に掃除するといった対策が有効と考えます。さらに、建材や家具などに使われる化学物質に注意することが重要です。小まめな部屋の換気もお勧めします」と話す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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