顔や全身のむくみ=子どものネフローゼ症候群
腎臓の機能が低下する「ネフローゼ症候群」は小児の場合、2~6歳で発症しやすいと言われている。顔や全身のむくみに気付いて受診するケースが多く、治療期間中は保育園や学校を休ませたり、体育の授業を見学させたりする必要も出てくる。「疾患をうまくコントロールして、日常生活をできるだけ普通に送れるようにしてあげることが、子どもの成長のためにも重要です」と、和歌山県立医科大学(和歌山市)特別顧問の吉川徳茂名誉教授は話す。
◇腎フィルターに障害
腎臓には血液をろ過する糸球体というフィルターがあり、老廃物を尿として体の外へ排出している。ネフローゼ症候群は、この機能が何らかの異常を起こし、血液中のたんぱく質が大量に尿に漏れ出てしまう疾患だ。たんぱく質は血液中の水分量を調節する役割があるので、余分な水分が体にたまり、全身のむくみとなって表れる。
大人の場合は腎臓や他の疾患の二次的な症状として発症するのに対し、小児の場合は糸球体にほとんど異常が認められない微小変化型ネフローゼ症候群が90%を占める。
ステロイド治療が効果を表すのが特徴で、将来的に腎不全に至ることはほぼない。「ただし、ステロイドが効かない難治性のタイプには、まれに腎不全に至る場合があります」と吉川名誉教授は付け加える。
ステロイド治療をやめると約70%が再発し、40%は年に4回以上再発を繰り返す頻回再発となる。そのため、治療はいかに再発しない期間を長く保つかがポイントになる。
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(2016/09/06 15:00)