Dr.純子のメディカルサロン

相手の気分を悪くする話し方から脱却するには

 「あの部長と話すと、なんか気分悪くなるんですよね」「母と話してるといらいらしちゃうんです」

 こんな声を聞くことがしばしばあります。特に、良い報告を伝えようと明るい気分で会話を始めたつもりなのにだんだん気分が暗くなっていくという相手には話をしたくなくなるものです。相手の気分を悪くする人の話し方と脱却方法について考えます。

(文 海原純子)


2022年米ワールドシリーズの試合前に談笑する選手ら。話が弾んでいるようだ

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 ◇キャッチボールにならない会話を避ける

 会話は野球のキャッチボールのようなものです。相手が取りやすい場所に取りやすい速度で投げると長続きします。相手の顔をめがけてフルスピードで投げたり、相手がとても取れないような場所に投げたりすることはないでしょう。でも会話となると相手が受け取れない場所に投げるような場合があり、これが気分を悪くする原因になります。

 相手が良い報告をしたとき、あなたはどんな反応をしているでしょうか?

 友達が「仕事が認められて部署の主任になった」と喜んでいるとき、
①良かったじゃない。それでどんな仕事をするの?
②わあ、大変。そこは忙しいんだよね。休日が少なくなるんじゃないの?
③良かったじゃない。私も実は仕事でうまくいってこんないいことがあったの
④「ふん、そう」と無反応

 ①は共感して相手に関心を持ち、積極的に会話を広げていくコミュニケーションスタイルです。こうした会話をする人は相手と良い関係をつくることができます。キャッチボールが心地よく続きます。共感してさらに質問するということで会話は発展します。

 ②は相手の話の中のネガティブな部分を見つけ、それを強調しています。相手は心の活気が低下します。キャッチボールでいうと、相手の顔めがけてボールを投げつけた感じになります。関係性はストップします。

 ③は一応共感するが、すぐに自分の話にすり替えて相手の話を聞くことがありません。聞いてもらえない人は気分がすっきりしません。キャッチボールでいうと、相手のことを考えず自分の好きな場所に投げた感じです。

 ④は相手に無関心で、こうした反応をする人には話をしたくなくなります。キャッチボールでいえば、相手から受けたボールを持ったまま、投げないで持ったままという感じです。

 ◇やる気をなくさせる会話に注意

 相手が楽しんだり積極的に行動しようとしたりするとき、やる気をなくさせる会話にも注意が必要です。

 妻が最近始めたダンス教室に通おうとしたところ、夫が「よくそんな所に行く元気があるね。たいしたもんだよ」と一言。あるいは、子どもがサッカーの練習に行こうとしたところ、「どこが面白いのか分からないわね」という母親の一言などです。

 本当は相手にそうしてほしくないときにダイレクトに伝えず、間接的に伝えて相手の気分をくじくような会話は関係性を悪くします。間接的に攻撃的といわれる会話スタイルです。共感せずに間接的に否定してさらに攻撃するという毒を含んだようなコミュニケーションです。これはやめてほしいですね。

 ◇ボディーランゲージも大きな要素

 言葉だけでなく、表情や声の大きさ、会話の速度なども印象を左右します。

 企業で「あの上司とは話したくない」といわれている管理職と話すと、「なるほど」と思うことがしばしばです。
・椅子にふんぞり返り、足を組んでいる
・腕組みをしたり指をさしたりして話す
・早口で大声
・人の話に「うん」「うん」という返事をする

 こんな態度で話すことが共通点ですが、こうした態度は「上から目線」の印象が拭えず、相手に威圧感を与えてしまいます。オンラインなどのときに自分の話すスタイルを画面で確認してみてはいかがでしょう。

 ◇「話す」「聞く」の割合はどうか

 良いコミュニケ―ションを保つには自分だけが一方的に話さないことが大事です。相手が話すのを遮らずにきちんと聞き、自分も話す。こうした対等な会話になるよう心に留めておくことが必要でしょう。「ひと言こちらが話すと途中で遮って話し続ける上司や先輩にうんざり」という声も聞きます。

 良いコミュニケーションのために少し注意をしてみると、関係性が変化すると思います。(了)

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