Dr.純子のメディカルサロン

たばこのイメージ 第3回

 海外では、たばこの商品パッケージに、喫煙のリスクを視覚的に明示することを義務付けている国があります。死を想起させるような病人の姿、たばこが原因で黒くなった臓器といった強烈な写真やイラストを、喫煙者はたばこを吸うたびに目にすることになります。

健康被害を訴える大きな写真が表示されたたばこの箱(オーストラリア)
 しかし、そこまでの取り組みをしても、例えば米国では、禁煙に踏み切るのは高等教育を受けた人が多く、低学歴・低所得層では喫煙率がなかなか下がらないという問題を抱えていました。こうした「教育格差」は今も解決できていないのではないでしょうか。

 さて翻って日本。皆さんはたばこに、どのような印象を持たれているでしょうか。

 若い世代が抱くたばこのイメージは、確実に悪くなっているようです。2011年に首都圏にある文系大学で教えていた頃、学生にたばこからどのような言葉を連想するか尋ねると、「良くない」「不健康」といった否定的な回答が8割以上を占めました。

 当時の私は「昔とはずいぶん変わったなあ」と感じたものです。喫煙者には年配の方が多いという個人的印象もあり、日本の場合は、たばこに対する思いに「世代格差」があるのかもしれません。たばこ嫌いの私としては、若い世代をターゲットに禁煙の機運を盛り上げていくことが効果的ではないかと考えています。

 それにしても、喫煙は完全にはなくなりません。次回は、なぜたばこにそれほど依存するのか、の理由を解説します。

(文 海原純子)


〔関連記事はこちら〕 たばこ依存症のメカニズム  たばことトリガー


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