治療・予防

痛風を防ぐ水分補給
~甘味飲料は控えて(結核予防会複十字病院 谷口敦夫医師)~

 足の親指などの関節が激しく痛む痛風発作。血中の尿酸濃度が基準値(1デシリットル当たり7ミリグラム)を超える高尿酸血症が続くと起こる可能性があり、夏場に増加するというデータもある。

 尿酸値を上げる飲み物として、ビールなどのアルコール飲料以外に、砂糖・果糖を含む甘味飲料や清涼飲料水にも注意が必要だ。尿酸値上昇や痛風を防ぐための水分補給について、結核予防会複十字病院(東京都清瀬市)リウマチ科の谷口敦夫医師に聞いた。

尿酸値の上昇を防ぐ水分補給の例

尿酸値の上昇を防ぐ水分補給の例

 ◇小まめに補給を

 痛風の推定患者数は全国で100万人を超えており、男性が圧倒的に多い。痛風予備軍とされる高尿酸血症は、成人男性では20%を超えるとみられている。

 谷口医師は「尿酸は、体内でプリン体という物質からつくられます。尿酸が多くつくられたり、腎臓からの尿酸の排出が低下し体の外へ出にくくなったりすると高尿酸血症になります」と説明する。

 体内の過剰な尿酸は血液中に溶けきれず結晶化して関節にたまる。この結晶が原因で関節炎を起こすのが痛風だ。また、尿路に結石をつくる場合がある。腎機能低下に関係するとも言われている。「痛風発作では、足の親指や膝に急性の関節炎が起こり、激痛に襲われます。この場合は、整形外科や内科を受診しましょう」

 発汗が増える夏場は、水分不足により尿酸値が上がらないよう意識したい。「高尿酸血症の人は、尿酸値の上昇や尿路結石を予防するため、小まめな水分補給が重要です」

 ◇果糖は尿酸値上げる

 尿路結石の防止のためにも1日当たりの尿量を2リットル以上にすることが望ましい。このため「食事以外に、少なくても1日5回、夏季であれば1日7~9回それぞれコップ1杯ずつの水分補給が目安です」。ただし、心臓病や腎臓病などの持病がある場合は医師に相談する必要がある。

 飲み物は、水やミネラルウオーター、緑茶や麦茶を基本とするとよい。「果糖は、体内に入ると尿酸を増やす作用があります。果糖・砂糖を含む甘味飲料や果物ジュースは避けましょう」。一方、繊維分やビタミンCが豊富な生の果物は適量であれば問題ない。コーヒー、乳製品(特に低脂肪)は尿酸値を下げる効果が期待できる。

 飲酒は尿量が増えて脱水状態になりやすく、摂取量が多いほど痛風リスクが高まる。谷口医師は「お酒を飲むときは、チェイサーとして水を少しずつ飲みましょう。つまみも野菜類や豆類、低脂肪のチーズなどが良いでしょう」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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