医療ADR

【連載第2回】使いやすい制度で和解目指す=公平性、専門性を担保―弁護士会医療ADR

 ◇簡易で廉価な申し立て

 申し立てには、申立書の提出と申立手数料の納入が必要だ。弁護士などの法律家に頼らなくても当事者本人が自分で申し立てられるよう、手続きは簡易で手数料も比較的安く抑えられている。

 申立書の書式は弁護士会ごとに違うものの、基本的には①申立人、相手方の氏名、住所、連絡先②求める結論③申し立ての理由―を所定欄に記入すればよい。

 提訴の場合は、請求の趣旨と法律要件に従った請求の原因を訴状に書く必要があるが、ADRの場合には「求める結論」として「相当額の支払いを求める」「○○について話し合いを求める」などと書くだけでもよい。「申し立ての理由」も、申し立てに至った経緯を簡潔に記載すれば済む。

 和解あっせんを担当するあっせん人が、解決のため必要な事項があれば、審理の際に丁寧に聞き取ってくれるはずだ。ADRの申し立ての書式と記入例は、各弁護士会の窓口に備え置かれているほか、ホームページからも入手できる。

 当事者が支払う申立手数料は、弁護士会ごとに違う。提訴の際は、請求額に応じた印紙と訴状を送るための郵便切手を納付する必要があるが、ADRの場合、申立手数料は、申立書送付費用込みで、おおむね1万~2万円程度の定額だ。

 申立手数料以外は、弁護士会によっては期日ごとの期日手数料が必要で、各弁護士会ともあっせんにより和解が成立した場合に成立手数料を支払う必要がある。成立手数料は、解決額を基準に算定される。

 各弁護士会とも、当事者の負担ができるだけ軽くなるよう比較的低額な成立手数料を設定しており、弁護士に依頼して時間と費用を掛けて訴訟を行うよりも、簡易に安く解決することも可能だ。和解成立は当事者双方にとって利益であるとの考え方から、成立手数料は当事者が折半し支払うのが原則になっている。

 経済的事情により手数料を支払うことができない場合、減額や免除の制度を設けている弁護士会もある。


新着トピックス