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まつげ、こすらず保湿で薄毛予防
~補修と育毛で目元ぱっちり~

 まつげが長く弾力性に富み、量も十分だと、目元が若々しい印象になる。女性は化粧で補う人も多いが、手を加えずぱっちりとした見た目にしたい場合、今生えているまつげと、これから生えてくるまつげのケアがポイントになる。専門家に注意点などを教えてもらった。

魅力的な目元にするアイメーク。まつげに負担をかけない落とし方を心掛けたい

魅力的な目元にするアイメーク。まつげに負担をかけない落とし方を心掛けたい

 ◇摩擦で抜けやすく

 まつげは、ごみや細菌、ウイルスといった異物が目に入るのを防いだり、日差しから守ったりする役割がある。上まぶたには80~100本ほど、下には50~80本生えているのが平均的だ。

 頭髪に比べて密度が低く、生え替わるサイクルは速い。隣同士で生えていたまつげが同時に抜けると、毛のない部分ができてしまう状態になる。

 「しわやシミ、頭髪などと同程度の頻度で、まつげが薄くなった、短くなったという相談はよく受ける」と話すのは、皮膚科が専門で松倉クリニック代官山の角谷貴子院長。医学的には「まつげ貧毛症」と言い、加齢や抗がん剤などの薬剤による副作用、円形脱毛症などが原因として挙げられる。「これら以外で最も影響が大きいのは、まつげとその生え際をこすること。摩擦で負荷がかかると抜けやすくなる」と同院長は指摘する。化粧をしたり落としたりするとき、乾燥やアレルギー症状によるかゆみなどがあるときにこすりがちだ。

 この他、人工まつげの接着のりや、まつげを作る栄養素の不足、毛髪に関わるホルモンのバランスの乱れなどが薄毛を進行させる。

 ◇アイメークは落とす時に注意

 目の周りのメークはアイラインやマスカラ、アイシャドー、アイラッシュカーラー(ビューラー)と、まつげへの負担が大きい。

 マスカラはまつげを濃く長く見せるためのアイテムだが、直接付着させるため、落とす際にこすりがち。貴子院長は「水や汗に強いウオータープルーフタイプの場合、専用のリムーバーを使う必要がある。通常のクレンジング剤で落とそうとすると、強くこすってしまう」と説く。最近はお湯で簡単に落とせるスマッジプルーフタイプが出回っていて、こちらがお薦めだ。

 また、使用期限が過ぎた化粧品や、開封後しばらく使っていないものは避けた方がいい。雑菌が繁殖しやすいためで、毛根の炎症を誘発し、まつげが薄くなる恐れがある。

「目やまぶたを無意識にこする癖のある人が意外に多いので、気を付けてほしい」と角谷貴子院長

「目やまぶたを無意識にこする癖のある人が意外に多いので、気を付けてほしい」と角谷貴子院長

 マスカラの前にまつげをカールするビューラーの使用も、できるだけ優しく。過度に力を入れると、まつげが折れたような状態になり、構造自体に傷が付く。貴子院長は「摩擦より負担が大きいので注意してほしい。負担が少ないのは、熱を与えることでまつ毛を根元から上げられるホットビューラー。少しずつ当てるのがポイント」とアドバイスする。

 ◇接着のりが炎症引き起こす

 付けまつげやまつげエクステンションは、接着にのりを使う。こののりが、まぶたに慢性微細炎症を起こし、まつげの脱毛や薄毛の原因になるという。

 貴子院長は「皮膚の真皮層で炎症性サイトカインが発生する。明らかな腫れや赤みが無く、見た目に変化が見られないこともある」とした上で「真皮層にあるコラーゲンを徐々に破壊し、まつげに影響があるだけでなく、まぶたがたるみ、老化の原因とも言われている。特に黒目の外側には皮膚を支える膜が無いため、顕著に表れやすい」と注意を呼び掛ける。

 ◇バランス良い食事

 「まつげは髪と同じ構造。鉄分、タンパク質、ビタミンCが不足すると、細くなったり抜けやすくなったりする問題も同じだ」と貴子院長。毛根の活性化に関係する亜鉛やビタミンDといった、一般的に髪、爪、肌にいい栄養素がバランス良く体内に存在することが大事だ。

 貴子院長は「新型コロナウイルス感染症などによる炎症で、鉄分と亜鉛が一気に減少してしまった場合、髪やまつげが急に抜ける患者さんがいた。罹患(りかん)した際は症状が出ないか、注意してほしい」と言う。

 ただ、栄養素が突然欠乏することはまれで、加齢やホルモンバランスと同様にまつげが緩やかに減る原因とされている。貴子院長は「気になり始めたら、食事や睡眠など生活習慣を少しずつ見直してみるのもいい」と話す。

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